働き方

「企画」という仕事。アイディアの波をどう捉えるか。

企画業をしていると「一体どんな仕事をしているの?」って聞かれることが少なくないです。世の中で出くわすことの殆どに関わり得る仕事なのですが、範囲が広いだけに逆にわかりにくいということもあるのでしょうね。

印刷会社はわかりやすい。

もう10年も前のこと、印刷会社に勤めていた当時は自分の仕事内容を伝えるのは難しいことではありませんでした。

「〇〇市の観光パンフレットのお手伝いしてます」とか「〇〇会社の商品パンフ、チラシ、HPを作っています」とか。「印刷物に加えてHPとかもやってますよー」というのが簡単な説明でした。もちろん「何を」「どのように」の部分で企画的な能力も必要ですから、名刺上の肩書は営業でも「実際は企画営業と言ったほうが正しい」と教えられながら学んだ記憶があります。

いずれ大概的な説明としては、印刷会社という言葉自体が比較的馴染みあるものなので、知人や親戚などに聞かれてもそれだけである程度イメージしてもらえたわけです。

広告代理店はわかりにくい。

ところが、東日本大震災後に広告会社に転職してからは「何をやっているかわからない」と言われることが多くなりました(同じ業界界隈を除いて)。広告代理店とか広告会社って、その業界に関わっていない立場からすると意外とイメージしにくいものなんですね。

転職前の印刷会社で一緒だった人たちにさえ「一体どんなことやっているの」と聞かれることもあります。印刷会社と広告会社って近いようで実は「見えている世界が結構違う」んです。

広告「代理店」とは

テレビもラジオも雑誌も新聞も、インターネットもCMも、私達が生活の中で目にする殆どのものが広告会社と何かしらの関係を持っているものです。しかし基本的には裏方で、あくまでクライアントを主人公として支える役割ですから、その存在自体は一般的な利用者・消費者・生活者の目に触れることが少ないわけです。

そもそも広告「代理店」というのがわかりにくいようで(今では「広告会社」ということも多いですが)。そもそもはテレビ局などのメディアはCM枠や番組提供枠など何かしらの「自社媒体の広告枠」を広告主に売っていて、その広告枠をメディアの代わりに売るから「代理店」なんですね。広告取次と言われていた時代もあるようです。

広告枠を広告主に買ってもらえたら、メディアはその成約料から一定割合を手数料として広告代理店に払います。例えば100万円分の広告枠が売れたら、10〜20万円程度が広告代理店の成果報酬のような利益として残るイメージです。これがマージンです。

そしてこれだけなら「広告の取次営業をやっています」的な話でわかりやすいのですが、時代が流れるにつれて、広告代理店はもっと広く深く「広告」に関わることになっていきます。

広告会社は今や「何でも屋」

例えば、どんな広告を出したら消費者に選んでもらえるのか、広告主の企業価値を上げるにはどうすればよいのか、一般的な広告をイメージを超えて世の中に何か仕掛けられないか。クリエイティブ、ブランディング、マーケティング、イベント企画運営、その他広告の周辺領域まで役割を拡大していきます。

一言でいえば何でしょうか。例えば「コミュニケーションのお手伝い」とか、もっとシンプルに「伝える」とか。いずれ広告会社が今や「何でもやります」と言っても間違いではない状態になっているからこそ、その外から見ている人たちにとっては非常にイメージを掴みにくくなってしまっているのかもしれません。

就職活動などで業界研究をしたり、または首都圏などで広告会社の存在に触れる機会が多かったりすればまた違うのでしょうが、私が住んでいるような地方都市では広告会社自体を知らない人も少なくないと感じます。まぁそんな縁の下の力持ちとしての役割もまた魅力的という側面もありますが。

独立したら、もっとわかりにくい。

私が広告会社にいたころに最も大きく捉えていた個人的なテーマは「東日本大震災津波からの復興」です。震災の瞬間に沿岸にいたこともあり、自分自身のライフワークとして仕事を捉えていたからです(このことはまた別の記事で)。

そして私が独立してからも基本的には同じ方向性で、震災復興、地方創生、SDGsなどに紐付いて年度毎のテーマ設定はしつつも、個人事業主ながら広告会社的な動きの中で「伝える」ことを通して地域のお手伝いに取り組んでいます。例えば、地方自治体などの企画コンペ案件、中小企業関連の制作・デザイン、商品開発、地域のイベント・事業運営など。

広告の取次でマージンをもらうような部分はしていませんので、その周辺の企画的な部分のお手伝いをしているということです。

紹介できるものは少しずつこのサイトでも取り上げていく予定ですが、「何でもやっている」ように見えるからこそ「わかりにくい」と見られがちです。独立5年目で模索している段階なのであまり対象を狭めずに展開している部分があるのも事実ですが、ただ自分からすると「企画」や「伝えることのお手伝い」で一貫しています。

結局、面白くてやめられない。

このように「わかりにくい」と言われがちな面もありますが、広く「企画」というものを手がけていくと「何でもできる」という面では仕事としてとても面白いです。その分、学びも投資も必要ですが。会社経営やスタートアップに興味ある方にも汎用性のあるスキルセットとして広告・企画周辺はおすすめです。

アイディアの波間に。

そしてやっとタイトルに戻りますが、「アイディアの波をどう捉えるか」ということが終わらない問いでもあります。

極個人的で抽象的なイメージなりますが、世の中の動き、クライアントの動き、生活者の心理、業界の情勢、偶然やタイミング、それらの無数のファクターから俯瞰的に見えてくる数学的なパターン(=波)を読みながら、そこに潜んでいるアイディアを表出させ一つの形にまとめていく。

はたしてその形がうまく波に乗れるのかどうか。その確度を上げながら、一歩ずつ故郷を未来につないでいくこと。それが私の仕事です。

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