デジタルハリネズミ

異色の遊び心ボディ BLACK RAIN DIGITAL HARINEZUMI 2++

デジハリの中でも突き抜けた個性

雨に濡れたデジタルハリネズミ

トイデジといえばデジハリ。そのバリエーション豊かなデジハリシリーズの中でも、ここまでチャレンジしたボディは他にない。というくらい際立った遊び心を感じるのがBLACK RAINだ。名前の由来は写真を見ていただければ一目瞭然。

デジタルハリネズミのスタンダードである黒いボディの表面に、まるで雨の雫がついているかのような加工が施してある。雨に濡れた黒いデジハリだからBACK RAIN。何も知らずにこれを見た人は本当に水しぶきをかぶっているのではないかと思うはずだ。

ちなみに言うまでもないが、防水ではない。気をつけて。

細部を見るとものづくりの意気込みを感じる

このデジハリBLACK RAIN、加工を細かく見ていくと結構面白い発見があって楽しい。

底面までしっかりと加工されている。手で持つとなんとなくグリップが良いというか滑り止め効果があるような気分になってくる。画像検索して手元のと比較してみると雫の位置や形が全て違うようなので、一つ一つ手作業で加工していたりするのだろうか。

上面のファインダー(デジハリおなじみだがほぼ使わないただのプラフレームのやつ)を立ち上げてみると、 驚くことにフレームの下に隠れていた部分にまで加工がされている。

さらに立ち上げたフレームの内側にも。これやっぱり手作業なのかな。機械加工ならばディスプレイやレンズ周辺はマスクして、フレームは立ち上げた状態で周辺から吹き付ける形だろうか。もし手作業ならば敢えてフレーム内側にも雫をつけるという遊び心の指示が出されていた可能性もあるよね。

 

裏面にはハリネズミのロゴもちゃんと雨の雫っぽく。かわいい。ここをプリントではなくてちゃんと統一デザインで加工しているのが良い。これは想像するしかないのだけれど、これを企画した人も製造したチームも結構楽しんで作り上げたのではないかなぁと。仮にジャンク品で動かなくても、一品物のデジタルデバイスとしてはエポックメイキングな商品といってもいいのではないだろうか。

写りはデジハリそのもので味付けなし

雨っぽいかと言われればそうではない

デジハリとしては初代に続くバージョン2の改良版2++(プラスプラス)の限定版という位置付け。雨の景色が良く取れるカスタマイズがされているというわけでもなく、中身はそのまんまデジハリだ。このあたり意匠とソフトウェアがもう少し寄り添えていたら面白いのかもしれないがトイデジにそこまで求めるのは厳しいかも。

接写は結構いける。初代の200万画素センサーに対して2++は300万画素。このあたりは高画素化とトイデジの味のバランスがどのあたりが良いものか好みがあるだろう。あまり高画質化してくると中途半端に普通のコンデジに近づいてくるから、今でも初代が人気なのはわかる気がする。

デジタルノイズの粒状感というか雰囲気はこの個体も悪くない。デジハリはソフトウェアバージョンや製造時期によって色合いやホワイトバランスが異なるという話もあるので、結局は手元に来て撮ってみてはじめて好みの個体かがわかるものだと割り切るべき。収集の楽しさもあるけれど。

 

モードによって色合いをある程度変えられるが、全体的なトーンの違いはシリーズの各バージョンで結構違うのかなと言う印象。個人的には手元に来た時点でカラフルな被写体を撮ってみて色の具合を確かめる。特に青の出方が自分の感覚に合う個体かどうかと、ハーフフィルムや110フィルム的な印象に近い画像を吐き出すかどうかを重視。

この基準からは今の所「花はりねずみモデル」がベストで「guru」「BLACK RAIN」あたりが手元にある個体としては続くところ。

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遊び心あるデジカメはそれほど出てこないだろう

トイデジの流行とともに外観遊びのシーンは落ち着いたか

トイデジという分野では結構変わった外観のデジカメが発売されていたが、トイデジのブームも終わってこのタイプの遊び心あるデバイスの開発は殆どされなくなっている。

同じ中身ならその分外観よりもスペックに予算を振った方が良いということもあるだろうし、ユーザーの意識としておもちゃ感のある意匠が好まれないというマーケットの理由もあるだろう。

ただその中でもこのBLACK RAINが遺したデザインの方向性は忘れてはならないというのが個人的な考えだ。確かに遊んではいるのだが、例えばキャラクター的なアプローチとは異なってある程度の幅を持ってユーザーに受け入れられるコンセプト設計。少し大げさに言えばカメラや写真に向き合う姿勢としての哲学を感じられるような遊び心だと思う。

雨の日専用のトイデジ。といったことでも良いだろう。防水じゃないのが残念だが。あぁそれなら「雨上がりのトイデジ」でもいいな。写真を楽しくする仕掛けの一つとしては傑出した存在なのは間違いない。

まとめ

もうすこし先の話。あらゆるデバイスのデザインについて3Dプリンタ等の技術による個人カスタマイズが流行する時代がくると思う。そのときに改めて思い出されるのがこのBLACK RAINなのかもしれないな。と想像を膨らませながらたまには外に連れて歩こうと思う三連休の終わりなのだった。

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