目次
デザインの新しい教科書と言っても良い一冊。
本屋で装丁見て「あ、よさそう」と手にとってパラパラめくってみたら中身も非常に良かったのでご紹介。最初に言っておくと、これはデザイン初心者向けのデザイン指南本で、例えばイラストレーターの使い方とか技術的な説明とかはありません。だからこそ何にでも応用が効くということでもあります。ある程度の経験者、または本書を読んだ後のステップアップとしては下記の記事で紹介しているようなデザインサンプルをカテゴライズした良本を読むことをおすすめします。
ということで本書についてはは「余白」をテーマに、余白を活かしたデザイン・レイアウトをNG・OK事例を見せながら説明していく初心者向けのデザイン本です。
「余白を作って、伝えたいことを目立たせる」
「余白=洗練」
「けっきょく、よはく。」というタイトル通り「余白」をどのように活用してデザインとして魅せていくのかがテーマとはなっていますが、それにとどまらずデザインそのものの「感覚」を養う第一歩として非常にわかりやすく優れた一冊でした。
情報がより整理され、デザインがより洗練されていること。
これを「レイアウトデザインのOK」として、「どうやったらそんなデザインが作れるのか」という部分を「余白」を切り口として視覚的に確認しながら展開されていきます。
デザインのポイントが事例とともに初心者にもとてもわかりやすく整理されている。
各事例のポイントについては以下の流れできっちり整理されているので読みやすく比較もしやすい作りになっています。
- NG作例
- OK作例
- 問題点の洗い出し
- 修正方法とその目的
- ほかにもこんなレイアウト
- アドバイス
すべての事例がこの6項目6ページで1セットとなっています。しかも一つ一つのコメントや説明が非常に細かくシンプルでわかりやすい。これNG事例も敢えてデザインしたと思うのですが流石だなと感じました。敢えてダサいデザインするのって簡単そうで難しかったりするはずなんですよね。慣れているデザイナーにとっては。
また目次としては、デザイン対象となるお店などの種類によって9つのチャプターに分かれています。各チャプターに挙げられている事例も抜き出してみますので目を通してみてください。
- Chapter 1 : CAFE DESIGN
・カフェのスペシャルメニューポスター
・パティスリーのフライヤー
・雑誌のパン屋さん特集
・レストランのフードメニュー
・地域イベントの告知ポスター - Chapter 2 : NATURAL DESIGN
・インテリアショップのショールームオープンフライヤー
・ヨガスタジオのフライヤー
・花屋のイベント出店告知ポスター
・ボタニカルショップのショップDM
・からだに優しいオーガニックなお菓子 (※パッケージです) - Chapter 3 : BUSINESS DESIGN
・会社案内のパンフレット
・アンケートをまとめたプレゼン資料
・ビジネス名刺 横型&縦型
・地域広報誌の特集ページ - Chapter 4 : SCHOOL DESIGN
・キッズ英会話教室のポスター
・医療系専門学校の学校案内
・オープンキャンパス告知ポスター - Chapter 5 : JAPANESE DESIGN
・和菓子のお土産パッケージ
・着物レンタル広告
・陶器の展覧会ポスター - Chapter 6 : SALON DESIGN
・ボタニカルヘアシャンプーの告知
・ネイルサロンのオープンチラシ
・マッサージサロンの三つ折りリーフレット - Chapter 7 : COSMETICS DESIGN
・リップのサンプル付きDM
・ハンドクリームの新商品店舗POP広告
・石鹸の雑誌広告 - Chapter 8 : SEASON DESIGN
・ハロウィン期間限定のPOP広告
・クリスマスフェアのポスター
・バレンタインの催事カタログ
・新生活応援キャンペーンのチラシ
・サマーセールのポスター - Chapter 9 : LUXURY DESIGN
・新築分譲タワーマンションのチラシ
・ワールドカーオブザイヤー受賞告知ポスター
・ホテルのパンフレット
さて、この目次を見ると「なるほどな」と思いました。何故かというと「デザインの仕事として受ける可能性が高い様々な形式をバランス良く取り上げている」からです。例えばポスター、DM、カタログ、チラシ、名刺などなど。チャプターで分けられているカフェデザインとかビジネスデザインとかの縦軸に対して、ポスターやチラシなどの形式としての横軸が非常にうまく編み上げられています。
最初から順番に読んでいってもよいですが、仕事でデザインをしている初心者は「Chapter 3」のビジネスデザインから見てもよいかもしれません。特にP90〜のプレゼン資料の解説はここだけでもポイント押さえていてすぐに活用できますし、その次のP96〜の名刺デザインは実際に自分の名刺を「余白を活用して」作ってみることから始めるには比較的簡単なので最適です。
各事例の最後の「アドバイス」は事例種別におすすめの「フォント」や「配色」などが紹介されているので、実際に自分でサンプルを真似て作ってみるときにも役立ちます。
まとめ:デザイン感覚を養うためにおすすめの良書
とにかくこの一冊を一通り読んでNG→OKの感覚をざっくりと掴んでから、各事例を参考に実際に自分のパソコンで真似て作ってみるのがよいです。本文中で使用されている素材の一部は巻末で引用元の素材集が示されていますのでそちらをあたってもよいですが、似た素材を用意してオリジナルで作ってみる方が力は付くと思います。読んで、理解して、真似て。その第一歩に最適なおすすめデザイン本です。
(2024/09/17 17:05:01時点 Amazon調べ-詳細)