ここ数年、企業の新入社員向けであったり商工団体の会員向けの研修会などで、TwitterやFacebookなどSNS活用についての講師を頼まれることが増えました。課題意識としては主に2方向で「1)SNSを活用して情報発信する力をつけたい」ということと「2)炎上しないためのSNSの使い方を教えてほしい」ということ。
個人でも企業でも「SNSをうまく使いたいけれどトラブルは極力避けたい」というのが基本的な思いとなります。特に企業にとっては社員のプライベートでのSNS利用を完全に制限することはできないので(企業情報の無断発信はもちろんNGですけれど)、研修というかたちでOK・NG事例などを踏まえてわかりやすく教えてほしいという要望が多いです。
普段からSNSを活用している世代であれば感覚的にリスク管理ができているものですが、参考資料として関連書籍から一部引用する場合もありますのでその中から18冊ほどご紹介します。
ちなみに講義・研修の他に企画立案・企画作成などで専門的な知識を総ざらいする場合には、前提となる知識を固めるために関連書籍を10〜20冊まとめて購入して一旦ざっと目を通してからスタートすることが多いですね。
ネット関連の移り変わりは早いですからできる限り最新の情報に触れることが大切ではあるのですけれど、ここでは実際に私自身が読んだ書籍で手元にあるものからピックアップしているので出版年は古めのものもあることご了承ください。情報リテラシー・メディアリテラシーという観点からは今後新たなSNSツールが出てきても共通する内容が中心です。
今回は紹介冊数が多いのでレビューは簡易的になることと順不同となりますので、必要情報に合わせて手にとって頂ければと思います。
『10代からの情報キャッチボール入門 使えるメディア・リテラシー』(下村健一 著、岩波書店)
「メディア・リテラシー」と聞くと大人でも構えてしまうことがあるかもしれません。こういう場合、基本的な知識というか感覚を得るためには子ども向けの平易な書籍をまず一読するのがおすすめです。専門的な知識を得た後でも、結局「芯」となる感覚は年令問わず共通するものでもあるからです。
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本書は「10代からの〜」というタイトルになっている通り、著者が読者に語りかける文体で非常にわかりやすく読みやすくメディア・リテラシーの基本を解説しています。
章立ては以下の通り。
<CONTENTS>
はじめに―人類滅亡を知らせるLINE
第1章 ネット時代の情報キャッチボール
第2章 情報をしっかり受け止めるための4つのギモン
第3章 情報をしっかり届けるための4つのジモン
第4章 情報のキャッチボールが社会をつなぐ
あとがき
LINEの導入から始まって、「4つのギモン」と「4つのギモン」を「情報のキャッチボール」で挟む形の構成ですね。
メディア・リテラシーというイメージしにくいものをどう解説していくかというのは非常に難しいポイントになるのですが、例えば次のような解説の流れなども随所に散りばめながら肩肘張らずに読み進めることができます。
『トム・ソーヤの冒険』などを書いたアメリカの作家マーク・トウェインは、「真実が靴を履いている間に、嘘は世界を半周する」とかつて言っていたけれど、今や、まさに訂正文が靴を履いている間に、誤報はネット界を駆け巡る。
全体で150頁程度ですから大人であれば用語調べ流れでも2時間もあれば読める分量。苦手意識がある方はこのあたりから始めてみてはいかがでしょうか。
『池上 彰のメディア・リテラシー入門』(池上彰 著、オクムラ書店)
ここ10年くらい「わかりやすいニュースの伝え方」の中心となっている池上彰氏。彼の登場でニュース番組の構成もすっかりシフトしたイメージがありますよね。どちらかというとTVメディアでの伝え方が上手い印象があるので書籍で読むとなると微妙に印象が異なる場合があるのですが、大人向けの入門本としては確かに池上氏の書籍はわかりやすいのかなと思います。
本書は2008年初版で少々古いのですけれど、SNSに限らない「メディア・リテラシー」の歴史自体はかなり長いものであることと、歴史的な事実を学ぶ上では変わらない内容がありますから勉強にはなるものです。
今や目次を見るだけで「池上氏らしいな」と感じる部分があるかもしれません。
<もくじ>
はじめに〜メディア・リテラシーとは?
第一部 メディア・リテラシー入門
第一章 テレビとの付き合い方
第二章 新聞との付き合い方
第三章 広告代理店とPR会社
第四章 インターネットとの付き合い方
第二部 メディアのウラバナシ
第一章 だまされないためのメディア・リテラシー
第二章 海外ニュースの報道を考える
第三章 テレビの世界をご案内
解説
各章の中で数ページずつの短めの項目が続いていく感じなので、TVで解説をコーナーごとに見ていくようなイメージで読み進められます。
エピソード紹介の積み重ねっぽいイメージなので深堀りするには他の書籍も併読する必要があることと、全ページ文章のみで図表など理解促進のための仕掛けが無いということは注意ですけれど、さっと読むには始めやすいです。
『新説 情報リテラシー ソーシャル時代を生き抜くための情報スキル』(杉浦司 著、関西学院大学出版会)
本書は学術的な専門書の類です。大学の出版会が出している本ということで、確かに「大学のテキストで使われてそうだな」と言ってしまえば何となく文体や固さのイメージがしやすいかもしれませんね。
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内容としては一般向けにも読める程度の文章と構成にはなっていますが、情報スキルについて体系的に学ぶことを意図したものなので、初心者にとって最初の1冊としては読みにくいことは否めない感じ。
ただ入門書と合わせてこのような専門書も傍らにおいておくことはかなり大切なことです。用語の定義だったり周辺情報としての専門知識について情報が得られることで理解を深めることができますから。
如何せんこの手の専門書は発行部数が少ないので書籍自体の価格が高くなりがちだったりもしますけれど、関連書籍をまとめて買う場合には必ず1冊は欲しいものです。
『ソーシャルメディア実践の書 Facebook・Twitterによるパーソナルブランディング』(大元隆志 著、リックテレコム)
タイトルに「Facebook・Twitter」という具体的なサービス名が入っていますが、本書では個別のサービスというよりも「ソーシャルメディア全般」について、パーソナルブランディングという視点から解説しています。
「はじめに」の冒頭に書かれている文章を引用します。
はじめに
本書はソーシャルメディア全般を取り扱いますが、フェイスブックやツイッターといった各サービスの操作方法の紹介を目的とはしていません。本書が目指すのは、個人が活躍する時代を目前に控えた今、一人一人がソーシャルメディア上に確固たる自分のブランドを確立し、活躍の場を作れるようになることです。
ソーシャルメディアには多様な側面があり、本書が紹介するのはその一部に限られますし、一つの考え方に過ぎません。しかし、本書を手にとってくださった一人でも多くの方に役立つことを、心から願っています。
この文章を読んだだけで著者である大元氏のスタンスがわかるかと思います。またカバー見返し部分に記載されている推薦文には「〜高校生以上のすべての人にとって教科書のような〜」という言葉があるように、約350頁というボリュームにもかかわらず非常に読みやすい文体でわかりやすく書かれていることに好感が持てる1冊です。
また、本書の最後に「結び」として大元氏がこの本に込めた思いが述べられているのですけれど、ここで触れられている「もう一つの本音」という部分は是非読んで頂きたいですね。「この本を読んでくれた皆さんに」という書き方になっているのでここでは引用紹介しませんが、ソーシャルメディアの本質についてのスタンスは読んでいて考えさせられるというかグッとくるものがあります。
真摯に健全に思いを込めて書かれた文章って読んでいてわかるものですけれど、専門的な書籍だと意外とそのようなものって少なかったりしますよね。その意味で本書は読む価値がある1冊です。おすすめ。
『インターネットにおける行動と心理 バーチャルと現実のはざまで』(A.N.ジェイソン 著、三浦麻子・畦地真太郎・田中敦 訳、北大路書房)
2004年出版の古い本であるとともに、巻末の引用文献だけで20頁近くある完全な専門書です。メディア・リテラシーというよりはタイトルの通り「インターネット」と「人間の行動」について心理学者である著者の視点から体系的にまとめた1冊。
日本人の著者と海外の著者とでは本の論理構成だったり語り方に大きな違いがありますよね。これは言語的な特性の違いにもよるでしょうし、論理的に文章を構成していくテクニックというかそれこそリテラシー的なものについてはやはり英語圏の巧さというものが歴史的背景も含めてあるわけです。
そういう意味で本書は大学の授業の教科書となるような、学術論文的な構成で記述されているものですから、約250頁にぎっしりと論じられているボリューム感も含めてかなり読み応えがあります。ただし関連書籍をまとめて購入する場合にはこのような海外著者の書籍(翻訳書でOK)も1冊は入れておくことがおすすめです。
学術本は途中で眠くなったりする人もいるかもしれませんが、きっちりと論理的に解説されているものがほとんどで意外と読みやすくて理解しやすいので。
『ウェブ炎上 ―ネット群衆の暴走と可能性』(荻上チキ 著、ちくま新書)
基本的な知識を得るためにはやはり「新書」は安価で読みやすいものです。一方で「新書」はその時代の「今」を新鮮な情報で伝えるものでもありますので、発売されたその瞬間に鮮度が高いうちに読んでしまうのが最も効果的ですから、「古い新書」については時代背景なども踏まえて読む必要があります。
本書は2007年発行なので最初に挙げられるのが「ブログやミクシィ」だったり2006年頃からの「WEB2.0」が用語として解説されていたりと懐かしい内容も満載ですが、「ウェブ炎上」のメカニズムについて考察するには普遍的で参考になる部分も多いです。
著者である荻上氏の文体はもしかしたら人によっては読みにくさを感じる場合もあるかもしれませんが、「炎上」の歴史・事例を含めて新書のボリュームでコンパクトにまとめられています。
『フェイスブックが危ない』(守屋英一 著、文春新書)
2012年発行でFacebookに特化して解説した新書。
ここ数年でFacebookは大規模な情報流出などで話題になったことを考えると、安心して使うためのリテラシーを利用者に求める以前の運営側のシステム的な問題があったんだよなぁとある意味考えさせられたりします。
Facebookの活用法などについては情報が古いので参考にならない記述も多々ありますが、SNSリテラシーのポイントについてはFacebookに限らずSNS全般に当てはまる内容で現在でも参考になるものです。章を選んでさっと読むにはこのくらいのボリューム感は読みやすいですね。
『その「つぶやき」は犯罪です 知らないとマズいネットの法律知識』(鳥飼重和 著、新潮新書)
ネットの法律について弁護士である著者が解説した新書。2014年発行ですのでもしかしたら細かい法改正などはあるのかもしれませんけれど、基本的な考え方として「加害者にならないために」知っておくべき法知識の参考にはなります。
「勘違い」「名誉毀損」「個人情報」「肖像権」「著作権」「嘘」「善意」という各項目で加害者になってしまう事例などをQ&A形式で事例を交えて解説しているので、読みたい項目だけをペラペラと読んでもOK。
SNSを活用する場合に知らずに法に触れることをしてしまうというのが最も注意が必要なことですから、リスク管理のためには最低限の知識は必要ですよね。
例えば私が講師として立った研修会などで意外と驚かれたのは「Facebookで地元新聞の記事の写真を撮ってアップするのは本来NGですよ」ということ。程度問題で悪質でなければ新聞社も見逃している場合がほとんどであるようですが、これがOKなら毎日誰かが新聞の全ページを撮影してアップすれば皆新聞買わなくて済むことになってしまいますからね。
新聞社が自社サイトで記事紹介しているページ等にある公式のSNSリンクボタン等を使って転載するようにしましょう。
『自分を「平気で盛る」人の正体』(和田秀樹 著、SB新書)
精神科医の和田秀樹氏の新書。2016年発行で、プロローグのタイトルが【ショーンK騒動で浮き彫りとなった「盛りたがる」人の存在】となっていたりと比較的最近の話題にも触れた内容です(と言っても2019年現在から見るともう3年前なんですね)。
メディア・リテラシーの本というよりは、SNSを始めとしたメディアでの情報発信において「自分を盛りたがる」のはどのような人なのかということについて考察・解説した新書です。
SNSでのトラブルの大きな原因の一つがこの「自分を盛りたがる」ということであったりしますので、自己顕示欲であったり自己愛のコントロールがし難いという自覚がある方は客観的に自分を見つめ分析するために一読しておくと良いかなと。
ネットに限ることではありませんが、自分自身の感情であったり身の振り方をしっかりと制御してコントロールすることは社会的に生きていくために大切なことですよね。
『ソーシャルメディア炎上事件簿』(小林直樹 著、日経デジタルマーケティング 編、日経BP社)
ソーシャルメディアにおける「炎上」について、過去の事例を事件簿として紹介しながら学ぶ本。事例集として非常に面白い1冊です。
はじめに
第1章 毎日起こるソーシャルメディア事件 ―事件簿1〜7
第2章 典型的「炎上」パターン6分類 ―事件簿8〜30
第3章 炎上防衛Q&A 知っておきたい20の知恵
【個人編】
【企業編】
おわりに
章立てはシンプルですが見て分かる通り事例数も多いですしQ&A形式の章もあって非常にわかりやすく読みやすいです。
この後の2冊も含めて著者が小林直樹氏の書籍ですが、「ソーシャルメディアの炎上」について取り敢えず読む本を探している場合にはこの3冊から始めるのはおすすめです。今回紹介している18冊の中でも読みながら付箋を貼っている数が多い3冊です。どれか1冊を選ぶなら本書からでOK。
『ソーシャルリスク ビジネスで失敗しない31のルール』(小林直樹 著、日経デジタルマーケティング 著、日経BP社)
小林氏の書籍2冊目。本書はタイトルの通り、ビジネス上での炎上リスクをいかに回避するかを解説した1冊。
本書全体で「31のルール」という項目にわけて事例を示しながらリスク管理のポイントを学んでいく構成で非常にわかりやすいです。
一つ一つの事例やルールは読んでみると「確かにそうだよな」と思うのですが、特にプライベートでのSNS利用の中で意識しないうちにトラブルを招いてしまうということはあるものなんですね。
だからこそ例えば社員教育の一環として事例を含めてしっかりと教育する必要があるわけで、その経営者側・管理者側が把握しておくべきリスクの種類について網羅的な知識を得るには本書は最適です。
『ネット炎上対策の教科書 攻めと守りのSNS活用』(小林直樹 著、日経デジタルマーケティング 著、日経BP社)
小林氏の書籍3冊目。Web管理者・危機管理担当者に向けたネット炎上対策のための1冊。
「教科書」というタイトルになっている通り、「炎上対策」について体系的にわかりやすくまとめられています。章立てがわかりやすいですね。
はじめに
第1章 「炎上」の新傾向と対策編
第2章 「炎上」基礎知識編
第3章 組織としての準備・対策編
第4章 有事の対応編(こんなときどうする?)
第5章 愛され企業になるために(攻めの活用編)
【資料】主な炎上事件一覧
おわりに
本書は2015年発行ですが、発行時点での新傾向と対策を導入として、その後に基礎知識、組織としての準備・対策を学ぶ流れになっています。その上で具体的な事例で有事の対応を解説しているので理解しやすいと。
そして第5章はかなり重要。というのも「メディア・リテラシー」とか「SNS活用」とか「炎上」について学ぶと、「危ないなら使用禁止にするのがベターだな」という判断をしがちな企業って少なくないんです。上層部がSNSをほぼ使わない年代だったりすると特に。
「臭いものに蓋」というか「危ないなら使うな」的なね。これ対応としては禁止すれば良いだけなので簡単なんですが、「リテラシーの向上」ということを考えると全くの間違いです。
しっかりとその技術を知って活用する能力を身につけて、実際に使いこなすことが「リテラシー」なので、「リスク回避のために使わない」というのはリテラシーの放棄といいますか何の解決にもなっていないわけです。
これって「文字を覚えると悪いこと書いてトラブルになるから読み書きを覚えさせるな!」というのと同レベルということ。良い面と悪い面をしっかりと理解した上で使いこなすのがリテラシーなんですね。
そういう意味で「炎上」をテーマとした書籍・教科書の最後に「攻めの活用編」が入っているということは重要。ちゃんとここまで読み切りましょう。
『インターネットはなぜ人権侵害の温床になるのか ネットパトロールがとらえたSNSの危険性』(吉冨康成 著、ミネルヴァ出版)
まず著者の吉冨氏の「吉」は「土+口」です。下の棒が長いんですね。
本書はインターネットにおける人権侵害についての約130頁という薄めの1冊。今回紹介した18冊の中では補助的な位置付けといいますか、正直あまり読みやすくはなかったり大学での広義テキストっぽい構成だったりと情報量としても薄めです。講義での解説が補完としてあってやっと完成するようなイメージではあります。
ただ各章の最後に参考文献がリストとして載っているので、情報のハブ的な位置付けの書籍として手元に置いています。論文だとか大学のテキスト系の良いところは順番に情報を辿っていくことができることかなと。
『Facebookのトラブルをキッチリ解決する本』(平野逸平・中嶋茂夫 著、ソシム)
Facebookにおける「トラブル」について、「プロフィール」「プライバシー設定」「投稿」「写真・動画」「チェックイン」「友達」「コメント」「Facebookページ」「アプリやゲーム」「その他」という10のチャプターでのべ89項目に分けて解説した1冊。
手元にあるのが2011年発行の初版なので細かく見ていくと最新の機能に当てはまらない部分も出てくるかもしれませんが、基本的なリスク管理の考え方をトラブル実例から学んでいくという意味では普遍的な内容も多いです。
項目が多いだけに他の書籍では取り挙げていないようなかなり細かい疑問にも答えているので、「そもそもSNSもFacebook使ったこともない」という比較的高齢の新規ユーザーなどは一読することで「あぁそんなルールがあるのか」とか「これは気にしたほうが良いんだな」という感覚を得られるかと思います。
『ネット炎上の研究』(田中辰雄・山口真一 著、勁草書房)
「ネット炎上」について体系的にきっちりと構成されている専門書。この本も個人的にかなり付箋を付けている1冊です。
帯に「炎上参加者はネット利用者の0.5%だった。」というコピーが入っています。この事実はネットでの炎上というものを考える上で非常に重要なことです。
たった数人の悪意ある利用者が仕掛けた「炎上」が、あたかも何万人もの世論であるかのように扱われ、結果として企業や個人に多大なる損害を与えることが起こりうるんですね。
「炎上」というものが社会的な問題として顕在化した当初は「ごくごく少数が炎上参加者である」という事実がわかっていなかったのですが、近年は様々な研究から明らかになってきていますので企業や個人としての対策も明確化してきています。
ニュースで「ネット上での脅迫で逮捕」的な記事を見かけることもあるかと思いますが、ちゃんと読んでみると逮捕されたのは1人〜数人レベルだったりするんですよね。数十人ということはまずありません。
これがネット上では匿名であたかも大炎上しているように見せかけることができたりするので、どこかのタイミングでネットニュースやTVメディアに炎上ネタとして取り扱われることで更に大げさになっていくという構造もあるということで。
そうなると企業としても「炎上している原因とされている批判内容には必ずしも謝る必要はない」という場面も出てくるわけです。根拠のない言いがかりをたった1人が炎上しているように見せかけている事例もあるからですね。開示請求をして個人を特定し、名誉毀損で訴えると。
「炎上」の本質と正体をしっかりと把握することで企業としての適切な対応もできるということです。
『サイト別 ネット中傷・炎上対応マニュアル〔第2版〕』(清水陽平 著、弘文堂)
「対応マニュアル」というタイトルなので企業の法務担当向けにも聞こえますが、実際は一般ユーザー向けに書かれた1冊です。(リンク先は最新の第3版)
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実際にネットトラブルに巻き込まれた際に、例えば「削除依頼」「開示請求」「損害賠償と告訴」などの対応をどのように進めれば良いのかについて、法的根拠も踏まえて丁寧に解説されています。
万が一の場合に備えて理論武装しておくという意味と、実際に万が一の状況になってしまった場合のマニュアルとして手元に置いておくという意味でおすすめ。
『ビジネスマン必携 フェイスブック情報セキュリティと使用ルール』(守屋英一 著、NPO日本ネットワークセキュリティ協会 SNSセキュリティWG 監修、あさ出版)
Facebookに特化している100頁程度の小冊子的な1冊。
かなり簡単な内容なので深みはないですが、パラッとめくりながらケーススタディでセキュリティ対策の概要を見てみるにはこのくらいのボリューム感は手出ししやすいですね。
『ソーシャルメディアガイドラインの作り方 SNSトラブル回避術』(FOM出版)
企業におけるSNS運用担当者向けに、ソーシャルメディアガイドラインをどのように作っていけば良いのかを解説した1冊。
本の作りがテキスト的なので、使用フォントなども含めてちょっとした読みにくさというかパワポ資料感がある書籍ではありますが、中小企業でソーシャルメディアガイドラインを作成する場合には参考になるかなと思います。
まとめ
ということで情報リテラシーやメディア・リテラシーに関する書籍を18冊紹介しました。1冊1冊だとどうしても不十分な部分もありますので、ある程度の幅を持って横断的に読むことで専門的な知識も効率的に補強されていきます。
Amazonのレビュー参考にして選ぶのも良いのですけれど、それとは別に数冊は予備資料として手に入れてみることで意外な発見や有用な情報が入ることも結構あるんですよね。書籍は読み手によっても評価が変わるものですから。
ちなみに参考資料の本を揃えるのに数万使ってしまって企画費や講師料との差し引きで赤字だったりすることも結構あるのですが、こういうのって知識欲の方が勝るものです。ではまた。