digifilm Y35

「プリプレス」における「画像加工」から考える趣味写真の楽しみ方。

印刷における「プリプレス」〜「プレス」〜「ポストプレス」とものづくり。

かつて印刷会社に勤めていたことがあるのですが、印刷だと大きく「プリプレス」「プレス」「ポストプレス」という3段階で工程を考えます。その名の通り「プレス=印刷」というのを中心として、その前工程がプリプレス、後工程がポストプレスです。

プリプレスにはデザインだとかコピーライトだとか取材撮影だとかも入りますし、入稿後に版を作ったりすることも入ります。ポストプレスは印刷後の後加工なので、断裁だとか製本だとか、今だと製品完成後の展開まで広く捉えることもあります。

一つの印刷物ができあがるまでにもこのプリプレス〜プレス〜ポストプレスのそれぞれの工程でそれぞれの専門家・職人が力と技を注いでいるわけです。印刷会社のプレス〜ポストプレスの現場については特に「(印刷)工場」と言うこともあり、「ものづくり」という視点から見るとまた深みがあって面白いんです。

「プリプレス」の「画像加工」だけでも実は結構な工程が詰まっていたりする。

そして今はこのプリプレス〜プレス〜ポストプレスの工程をパソコンやネットを通して(協力機関への外注も駆使すれば)1人でこなすこともできるので、個人でも比較的「ものづくり」がしやすい環境が整っています。このブログサイトもネット展開としてはポストプレスの一部として考えられる場合もありますが、Wordpressやブログサービスに加えてSNSを使えば誰でも情報発信者になれる時代ですよね。

プリプレスの中には「画像加工」に関わる工程もあります(画像調整とか色々な言い方はあると思いますが本記事では「画像加工」といいますね)。カメラマンが撮影してきた写真を、例えばパンフレットに切り抜きで載せたいとしましょう。昔はフィルム写真(特にポジフィルム)が普通でしたから、下記のような流れになります。

1)写真室の膨大なストックから必要なフィルムの一コマを探す。

フィルムはポジフィルムを1コマずつ切り取ってプラスチックの枠にいれた「マウント」の状態でストックされているのが通常です。デジタル化されている場合はアーカイブから目的の写真を検索します。

2)フィルムをスキャンする。

フィルムのような光を透過する素材を「透過原稿」、紙焼きされた写真のような光を透過しない素材を「反射原稿」といいます。印刷会社で使うのは基本的には透過原稿ですので、これをドラムスキャナーというガラスの筒に貼り付けて高速で回しながらデータとしてスキャンします。

3)データを印刷物に合わせて調整する。

ここからはデジタルデータになりますので、デジタルカメラで撮影した写真も同じ処理となります。RAWデータの場合は現像をします。その上で、使用する印刷物に合わせて、色合いを調整したり、解像度を合わせたり、切り抜いたり、合成したり、サイズを合わせたりします。

「サイズを合わせる」というのが最近の方だと感覚がわかりにくい場合があるようなのですが、印刷物にしたときに100%のサイズで350~400dpi(dot per inch)になるように一つ一つの画像を調整するのです。

イラストレーターでもパワーポイント(←意外といる)でも元画像そのまま貼り付けてるためにファイルサイズがとてつもなく大きくなっていたりするのを見たことありませんか。最近のパソコンは性能が良いので力づくで処理できたりするのですが、品質や実サイズに画像データをしっかりと合わせ統一することで、ファイルが最適化されることに加えて最終的な印刷物の仕上がりも良くなります。

4)デザイナーに渡して制作作業に入る。

ここまででやっと画像データが整いましたので、デザイナーに受け渡されて、実際のデザインにはめ込まれていきます。切り抜きについてはイラストレーター上でマスクをかける場合にはここで処理することも多いですよね。

 

プリプレスの一部である「画像加工」だけでも結構な手間ひまがかかっているものですよね。少し大きい印刷会社だと、これらの各工程で別々の職人が作業をしています。今は少ないのかもしれませんが、私が昔勤めていた印刷会社ではスキャン専門のスタッフもいました。ポジフィルムの深い色合いは当時はまだデジタルで再現できていなくてどうしてもあっさりした色調になってしまうため、印刷物には基本的に使えなかったんです。だからこそスキャンの専門部署が必要だったと。

もちろん技術が進んだ今は反対にデジタルカメラによる写真が普通になって、ポジフィルムを使うことは(撮影することも)ほとんどなくなったのだろうなと思います。でも昔と言ってもたかだか10年前くらいの話ですから、世の中の移り変わりは結構劇的なものなんだなと感じてしまいます。最近のカメラ業界の移り変わりを見ても10年後にはもう一眼レフがなくなってミラーレス一眼だけの世界になっていても全然おかしくありませんよね。

趣味で写真をする場合の「プリプレス」としての「画像加工」の楽しみかた。

これまで完全に一部の専門家しか手を出せなかった技術や機材が趣味レベルの一般人でも比較的手に入れやすくなってきています。パソコン然り、カメラ然り、ソフトウェア然り。だからころ趣味で写真をする敷居も下がって助かります。私の場合は本業でAdobe Creative Cloudを使っているので、画像加工も比較的チャレンジしやすい環境にいるのも幸い。

個人レベルまで専門的な工程が降りてきていることで、例えば前述の「プリプレス」の「画像加工」の各段階についても自分ひとりで手をかける楽しみを享受できるわけです。単に「撮影」して「プリント」するといった楽しみ方ももちろんある一方で、撮影するだけではなく「画像加工」で自分なりの表現を模索する面白さがそこにあります。

「フィルムカメラっぽい写真」にしたいとか、「トイカメラっぽい写真」にしたいとか。または「粒状感が少しあってどこか懐かしさを感じさせつつもハイキーな色合い」だとか。写真を本業にしているのであれば白飛び・黒飛びはご法度みたいなものはあるかもしれませんんが趣味で楽しむ範囲では多分正解はなくて、自分の感性を信じて好き勝手できるのが強みです。その中でSNSにアップして反応を確認してみたり、プリントしてアルバムやポートフォリオにしてみたり。この「画像加工(RAW現像も含む)」の楽しみ方を覚えれば、個人レベルでも写真の世界がもう少し広がるに違いありません。

まとめ

かつては専門的な技術であったものが個人レベルにどんどん門戸が開かれている今、その数多くの工程を俯瞰してみることでもう一歩踏み込んだ楽しみ方を見つけることができるはずです。「画像加工」は比較的メジャーですが、例えば「スキャン」みたいにニッチな工程でも突き詰めれば面白いことができるかもしれません。

私はといえばkickstarterで手に入れてしまった「YASHICA digifilm Camera Y35」の「in my fancy」の色合い(本記事の冒頭の写真参照)を画像加工・レタッチで再現できないかなと軽く試してみたりしています。

サンマ。iPhone7plusで撮影したものをレタッチ。粒状感と色合いは少しだけ近くできた気がしますが、まだまだ研究が必要ですね。YASHICA digifilm Camera Y35は最短撮影距離が1mなのでこんなに寄れないのがそもそもそれっぽくない原因かもしれません。こんどは被写体も選んで試してみます。ってかiPhone綺麗すぎるわ。自然に粗くする方法学ばないと。

というかこのレタッチレシピが完成したら「YASHICA digifilm Camera Y35」いらなくなるじゃない? というのは冗談としても、これ再現できたら終わってしまうのですが、再現できないのならそれこそがこのカメラしか持ちえない個性ということになります。諸事情で炎上しているこのカメラにもトイデジとしてなら唯一無二の何かを見いだせないかなぁという思いです。これはバッカーとしての金額とクオリティの差をなんとか納得させようという問題ではありません。価格相応のトイデジだと感じますし。

それよりもこのカメラに関わっただろう人たちは決して「適当に金集めて適当な品質で済ませたい」と思ったわけではないんじゃないかなと考えちゃうんですね。少なくとも画像のチューニングをした職人は何かを込めたのではないかと。そこにものづくりの意気込みがあって、コンセプトにちゃんと紐付いていれば、個人的にはこのプロダクトには満足です。このチューニングって正に「プリプレス」の「画像加工」と同じですよね。そこに関わったのが職人なのであれば、完全に適当じゃないんじゃないかなと。

これも写真の一つの楽しみ方です。イメージと加工方法の方程式が自分の中にできてくれば、他の調整も比較的簡単にできるようになってくるんじゃないかなと期待しています。みなさんも是非、いろんな写真の楽しみ方に挑戦してみてはいかがでしょうか。ではでは。

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