まちづくり

ついに今年も雪が積もったわけで、平成最後の長い冬が始まります。

アイキャッチは夏の線香花火ですが、今朝12月になったなぁとカーテンを開けたら雪が積もっていました。

ある朝、「冬が来たなぁ」と北国の人間は毎年つぶやく。

網戸越しなのでちょっと見にくいですが。遂に来たなぁという感じですね。ちらちらと雪が舞う日はあったものの、ちゃんと「積もった」と言えるくらいは今日が初めて。雪の降り始めの時期は車の運転に気を使います。体が冬道に慣れていないとブレーキのタイミングだとか加速感を取り戻せていなかったりするんですよね。あとはたまぁにタイヤ交換していないのか国道を時速20kmくらいで走っている車に出くわすことがあるので注意です。

長くて厳しい冬と観光事情。

北国の冬は長くて厳しいです。岩手の盛岡周辺でも数十年前に比べれば雪の量も減っている気がしますが、それでも気温はマイナス10℃以下になることもあります。道路が凍り始めるのは気温がマイナス3℃くらいが境目に感じるので今日のマイナス1℃くらいだとまだ大丈夫ですけれど、すぐに道路が凍る気温にまでなるでしょうね。雪が積もってしまえばスリップしにくくなるものの、雪が少なくて道が凍るアイスバーンは地元民でも怖いもの。

この冬道問題は観光業界にも影響を及ぼします。岩手の観光客のピークは地域にもよりますがおおよそゴールデンウィーク周辺、夏休み期間、シルバーウィーク周辺になります。イベント関連に携わるときには年間の忙しさにも大きな波があるわけですね。

岩手の観光業界におけるいくつかのピーク。

ゴールデンウィークについては、その1〜2週前くらいが桜の見頃なので人は動きます。関東、関西などでは桜のイメージって「卒業」だと聞いたりしますけれど、岩手だと「入学」時期なんですよね。桜の中でも枝垂れ桜は比較的遅いので、ぎりぎりゴールデンウィーク時期にかかる年もあります。ゴールデンウィーク本番はイベントも多いので全国同様に人は増えます。

ゴールデンウィークが終わると一段落。次のピークは夏休みです。と言っても夏休み期間は全体的な底上げがあることと、地域によってイベントなどの格差があったりするので、夏祭りだとか花火大会などに合わせて人が動いていく感じでしょうか。盛岡では例年8月1〜4日は「盛岡さんさ踊り」が開催されますからここがピークかな。

9月に入ると、実は県内ではイベント関係満載の時期になります。毎週県内のあちこちで秋祭り系のイベントが重なる状態で、イベント業界でも人が足りなくなったりします。地域によっては秋祭りが年間のピークだったりするんですよね。他の都道府県の状況はわからないのですが、昔から飢餓や自然災害などに苦しんできた岩手ですから豊穣を祈るお祭りが多いのかもしれません。あとは例年シルバーウィークあたりで開催される「いしがきミュージックフェスティバル」。岩手公園(盛岡城跡公園)を中心としたまちなかの各所にステージが設置される無料の屋外フェスです。そして10月に入ると紅葉本番。車で道の駅をまわりながら紅葉狩りするのが楽しみな時期です。ここら辺までが大まかな集客時期の中心になります。

11月には初雪、12月には雪が積もり始め、ここから次の春までは県内のどこのエリアでも観光客は少なくなっていきます。クリスマスや雪まつりもありますけれど、雪が積もれば積もるほど基本的にはおとなしくなる傾向にあるんですよね。特に年明けから年度末くらいまでは人が動かないので、さて集客策をどうしようかという議論になります。雰囲気的には「そもそも動かないよ。冬だし」という感が出ていたりもしつつ、解決したい課題であることには変わりありません。

ずっと言われ続けている冬の観光課題。

というのも、前述の通りいくつかのピークはあるものの、それらは単発的なイベントによるものが多いんですよね。報道に載る観光客数はある程度の数字になっていても、事業者レベルまで落とし込んでいくともっと商売につなげたいという感覚が強いです。年間数日の旗日イベントでがっつり稼ぐという手もありますけれど、それ以外の平日の方が圧倒的に多いわけです。年間を通して考えても同じことで、GW・夏祭り・秋祭りの3つのピークはそれとして、それ以外の時期にも安定的に地方経済を活性化するにはどうしたらよいかということになります。特に冬は長い上に観光的にはまだまだ弱い。

本当は冬も楽しみ方っていろいろあるんですけれどね。例えば「食」という視点。秋から冬にかけては農業も漁業も食材が美味しい時期です。温泉宿に泊まって雪降る露天風呂で体を休めてから、地産の食材を満喫する。ただこれは他の都道府県でも「字面としては」同じようなことをしているわけですから、公共の交通機関も都会に比べると整備されておらず車移動が基本となる岩手は不利になることがあります。少し不便でも鉄道などでゆっくりとした旅を楽しむという価値観はあるものの現状では中々メインにはなりにくいもので。

特に旅行客も高齢化が進んでいますから、秋までのドライブ需要には応えられる一方で、冬には便利で安全で快適な旅をどう提供していくのかが課題となります。団体旅行から個人旅行への流れが進んだ一方で「個人旅行へのシフト×旅行客の高齢化×長い北国の冬」については今後さらに戦略的な対策が必要になっていきます。

まとめ

冬が始まりました。平成最後の冬です。仕事的にも地域課題解決について考える時期。仕掛け方も世の中の流れを予測しながら年々変化していかないとなりません。よくよく聞いてみると10年前と議論が同じだったりする場面もあったりするんですよね。地域課題は変わらないものと見るか、何らかの理由で解決できないままと見るか。専門職として地域に関わる以上、このあたりの視座については敏感でいなければならないなとよく考えます。

例えば自分が5年10年と地域課題解決に関わっているとして、若い新たな人材が入ってきて何かしらの課題意識を持って企画を立てたときに、「それ10年前から言ってるし、やってるから」みたいな反応をするような自分にはなりたくないんですよね。それって「10年間やり続けてるのに何も解決できてないじゃん」ってことじゃないですか。力不足か見当違いのことをしているか実は何もやっていないのではって言われてもしょうがないですよね。せめて「10年やってどうしても解決できていないくらい難しい課題なんだが、そのネックはこれとこれだということはわかった」「これらのアプローチはしてみたが、そこでは新たな課題としてこれが出た」みたいな積み上げで語りたいもので。

歳を取るごとに自分のキャリアで何にどう挑戦してその結果数年単位で何が起きて変わってきているのかを「自分の言葉として」どれだけ語れるかが重要になります。北国の冬の観光課題についてももっと語れるようになっていたいものですね。ではでは。

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