働き方

「企画書を書く」という仕事がある。

企画職の面白いところって、業界を問わずに様々な新しい知見を得ることができたり挑戦することができることだったりします。一般企業案件であればブランディングだったり商品開発だったり、また自治体案件でも観光だったり農林水産だったり、案件ごとに分野が変わるので「何かを知る・学ぶ・考える」ことが好きな人にはいつも新鮮な気持ちで取り組むことができます。もちろんノウハウ・知見も常に最新の内容にアップデートしていく必要がありますからインプット量も半端ないのでゆっくりする暇はほとんどありませんが。

企画職に求められるもの

その上で「企画」とか「アイディア」というものを捉える場合には、共通の思考性があるものです。クライアントの中に潜在化している重要なポイントをいかに引き出して、見出して、一貫性のあるストーリーとしての組み立てにしていくかというポイントはほぼ変わらないということですね。優しい言葉で言うと、ヒアリング、インプット、情報検索、情報整理、論理構成、アイディア、ひらめき、アウトプットなどのスキルセットを磨くことなどが企画を生業とするのに必要となります。あとはタイピングだとかパワポだとか必要なツールを使いこなす上でのスピード。そしていざというときには泥臭いこともできる気力と決断力です。さらに欲を言えば企画に「華」を添える能力。

「企画書を書く」ことに特化した仕事もある

企画関連の仕事は様々な課題解決のお手伝いができるので幅広いものなのですけれど、その中には例えば「企画書を書く」ということに特化した案件もあります。実は様々な情報を整理して、そこにアイディアを載せて、一貫性があって見栄えのする企画書・提案書にするということはそれだけで専門的なスキルなんですね。私もかつて営業職をしていた時期があるので実感としてわかるのですが、企画コンペに挑戦して案件を獲得したくて、そのために企画書に載せる情報だとか材料だとかメニューはあるのだけれど、「企画書」に仕上げるのは難しい場合があるんです。それは他の仕事が手一杯で忙しくて時間が取れなかったり、スキルとして継ぎ接ぎ以上のものにできなかったり。

スキルを身につけるには専門的・集中的に学べる環境は必要

その経験もあって独立前に就いた職場ではかなり意識して集中的に企画スキルを磨いた経緯があります。独立後5年経った今振り返れば当時もまだ未熟だったように感じますが、それでもあの時期があったからこそ、今のスキルセットが一つの方向性としてまとまったんですね。それは社会に何かしらの価値を還元できるものとして働き方のベースになっています。

そして独立後には「企画書を書く」という仕事もたまに入ってきます。「体裁を整える」レベルの要請でも結局は論理構成だったり華だったりを含めて全体を「継ぎ接ぎ」から「企画書」に仕上げることになります。提案チームに他に企画書を書ける方がいる場合には、コンセプトメイキングだったり企画書の一部だけ担当することもありますが、比較的少ないかもしれません。

なかなか伝わりにくい「企画書」そのものの意味と意義

ちなみに「企画書」の大切さって中々伝わらないものだったりします。決められた予算の中でどんなことをやるのかというメニュー出しを要請されているコンペの場合、企画書体裁よりも一つ一つのメニューが大事だろうと考える方もいます。デザインコンペの場合、企画書体裁は比較的どうでもよくてデザインそのものだけが大事だろうと考える方もいます。これはコンペ自体の性質や審査員・審査基準にもよりますので、その通りの場合も確かにあります。ただ、企画職としては仮に「企画書を書くだけ」の仕事だとしても、その整え方や論理構成や表現や企画書そのもののデザインによって勝敗が変わるものだと信じて取り組みます。

ひと目見て「これに決めた」と言われることを目指して

その企画自体に取り組む姿勢だとか熱量だとか本気度って企画書を見ればある程度は伝わるものだと捉えているからです。もしかしたら提出された数社の企画書を審査員の方々の前に並べたときに、表紙1枚で「これじゃん」って言ってもらえる場合もあるかもしれない。パラっとめくっただけで「ここに頼もう」って言ってもらえる場合もあるかもしれない。理想論かもしれませんが、自分の場合はそういう所まで狙っていきます。

審査自体の様子は通常は全くわからないので仮にそうだったとしても知る術がないわけですが、独立後の5年間で1度だけ、比較的大きい事業の企画書でそのような流れに近いものがあったと後から担当営業経由で聞いたことがありました。基本的には細かい審査基準で点数化されて順位が決まるものなので、シンプルに嬉しいですよね。あぁこのやり方に意味がある場面が確かにあるようだとわかったわけですから。

厳しい勝負の世界の割に儚い仕事でもあったりするけれど

「企画書を書く」だけの案件って、勝敗決まったら基本的にはそこで終わりなんですよ。仮にコンセプトメイキングまでしていても、獲得した事業そのものには携わらない場合もあるので。獲得報告を受けて、そこで喜んでおしまいだったり。企画書は表には出ないものですから、自分の役割はそこまで。特に褒められることもありません。勝てばOK、負ければ反省。これ系の案件はコンペで勝つまでが仕事です。もちろん、実際に獲得後にもスタッフとして携わる案件もありますしそちらの方が取引額としてはメインになります。でも企画業の中にはこのようなある意味儚い勝負の世界もあるんですね。

まとめ

企画業は面白いので、地方でも興味ある方には是非目指してみて欲しいものです。一般企業でも専門職でも必要な人材だと思いますし、応用力の塊です。また、案件そのもので言うと「勝つまで」が仕事の場合もありますが、実際に企画を考えるときにはその場限りとは全く考えていなくて、企業や地域のずっと未来のことまで想像して取り組みます。自分の名前は決して表に出なくても、そこで悩みながら生み出したアイディアが世の中に出て、誰かに喜んでもらえて、もしかしたら10年後、20年後の何かを少し変えているかもしれない。思えば仕事の楽しさってこの期待感が大切だったりするかもしれませんね。ということで、昨日今日で「企画書を書く」までの2案件の獲得報告が入って嬉しかったので考えまとめてみた記事でした。ではでは。

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