仕事って関わる人や団体が多くなればなるほど、ひとつひとつの案件は企画立てる時から大騒ぎで、キックオフしてからもやっぱり大騒ぎで、最終完了するその直前までバタバタすることが多い。でも、完了の瞬間はあっさりで、終わりは大抵静かなものです。
今日アップの仕事がひとつ完了。最初の企画書作成から2ヵ年お手伝いした案件だったので感慨深い。事業は終わっても地域課題がなくなるわけではないけれど、自分(達)が関わったことで少しでも前に進んだことがあると信じたい。まぁ完了報告はさっぱりしているもんですよね。お疲れ様でした。次だ次。
— Neji@1y (@neji1983) December 28, 2018
広告業界って大きなイベントや事業に関わったり場合によっては芸能人をキャスティングしたりと外からは結構華やかに見えるものですよね。確かに東京などの大都市圏では確かにその通りかもしれませんが、地方では意外と地味で堅実なことを現場レベルでやっているのが普通です。
企画プランニングや現場ディレクションで関わる場合、決して表には出ないチームスタッフ陣が膝を突き合わせて毎日喧々諤々しながらプロジェクトの成功に向けて大騒ぎということも珍しくありません。
スマートにさっと全てが進んでいくことは非常に稀なんですね。もしそういう場面や人を見たとしたら、「そこでは見えていない誰か」が這いつくばって頑張っているはずです。
目次
まずコンペに向けて企画を立てるまでが大騒ぎ。
企画を立てる時には、クライアント理解・時代背景理解・業界理解・コンセプトメイキング・戦略設計・論理構成・コンテンツ構成・キャスティング・スケジュール・運営体制・予算見積などなど最も時間と頭を使います。
コンペで競合がいる場合にはまず選ばれなければなりません。提出ギリギリまでブラッシュアップすることもあります。提出期限の前夜にほぼ完成した企画を見直してどうしても納得いかず徹夜でほぼイチから作り直したこともあります(これはチームの中にそういうプロデューサーがいる場合によくあることで)。
企画そのもののクオリティもそうですが、「企画書としての魅せ方・デザイン」も大切です。「有名なプランナーの企画書」みたいな特集とかたまにみることがあるかと思いますけれど、企業やクライアントによってこのトンマナはかなり異なります。超大手の広告会社&首都圏案件であればシンプルな企画書でも通るかもしれませんが、地方で自治体コンペなどの場合はかなりかっちり資料っぽく作ることも多いです。
コンペは獲得できても大騒ぎ。
いざ獲得できたら、それはそれで大騒ぎです。基本的には企画書段階で全ての設計図ができているわけで、それをそのまま粛々と実現していけば完了するはずですよね。自治体案件などはコンペを実施している以上、企画書に記載していることのみを予算通りに過不足なく実行することが求められますし。
でもそう簡単にはいかないことも多々あるわけで。企画提案段階では「未確定」の要素って必ずあるものです。もちろんコンセプトなどの基礎となる部分はそのままだとしても、例えばイベントであれば予定会場であるとか、キャスティングであるとか、実施日程であるとか。提案はするものの詳細は受託決定してから確定しようね、というやつ。これはコンペ案件だと「確実に発注できるか事前にわからない」ので、仮押さえだったり企画書提出時点での空き状況だったりにどうしてもならざるを得ないということ。
するといざ獲得した後に「先約優先で埋まっちゃいました」とか「実施日程が変わったためにNGです」とか、そんなことがたまに起こります。受託決定後のこの再調整が仕事のキモの一つだったりもします。このあたりは企画立案段階で万が一のときの代替案を必ず設定しておきますが、企画書自体には載せる場合と載せない場合があります(複数提案が不可の場合もあるので)。
ごくたまにこの「未確定も一部許される」を盾にして実現度の低い華やかなキャスティングでコンペだけ獲得しようとする(獲得後に当然NGになっても契約は見直されないことが殆どなので結果として訴求力が弱いキャスティングに変更して落ち着かせる)競合に出くわすこともありますが、私としては基本的にはそういうことはしないスタンスです。クライアントに誠実ではないですからね。同じチームで仮にそのようなコンペ戦略をしようとするスタッフがいたら反対します。あくまで実現性の高い(ほぼ確の)プランで勝負するのがマナーです。
企画書通りに実施するのも大騒ぎ。
実際の詳細が確定してから案件が終わるまでは様々な要因やスタッフやスケジュールが絡み合いますからこれまた大騒ぎ。どちらかというと企画立てるまでは大変ですがまだ平穏です。企画段階ってあくまで「仮説立て」だからです。エビデンスをもとに戦略設計をしますからプロジェクトチームが確度が高いものとして信じているものです。でも仮説は仮説。「これでいけるぞ!」というのはこの段階では「確信」という名の「想定」です。
だからこそ、実際にモノが売れるのかとか、イベントに集客できるのかとか、効果がどのくらい出るのかということについては、実際にやり終わるまではわからないのが常です。企画通りに結果が出ることもあれば、想定以上のものになることもあれば、想定していた通りの結果が出ない場合もあります。どれだけ慎重に確実に組み立てていても、例えばイベント実施直前に災害があったりとか、そういう予見不可能なことが起こる場合もあります。
それでも案件がスタートして終わるまで、可能な限りのパフォーマンスで結果につなげたいと奔走するのがプロジェクトチームです。
完了後の報告書やら清算やら事業を〆るまでが結構バタバタ。
無事に納品になったりイベントが完了しても、事業関連だとそこから「完了報告書」を提出して契約を〆るまでがもう一山あります。報告書自体が数十ページになることもありますし、その報告書に対する校正チェックがクライアントから入る場合も少なくありません。つまり数十ページの報告書が校了となるまでは終わらなかったりするので、契約書の完了期日までバタバタすることもあるんですね。
全てが終わって一息ついたらあとは電話一本で静かに終わる。
報告書類などの提出がほぼ終わると、ここでやっと一息。クライアントの最終チェックを待つだけです。クライアントのフロントに立つ営業さんとかが他にいる場合、プロジェクトスタッフとしては営業さんからの完了連絡を待つわけですね。
そしてその電話が入れば、終わり。「お疲れ様でした」だけのやり取りであることもあります。海外っぽくプロジェクトチームが揃って騒ぐこともありませんし、どちらかというとシン・ゴジラのラストに近いかな。結果を聞いてゆっくり息を吐いて静かに終わると。それほど大きな案件でなければいちいち打ち上げみたいなこともしないですし。あっさりしたものです。
まとめ
結果的に課題が解決できたかどうかについては、単年度事業だとどうしても限定される部分もありますし数年スパンでないとわからないものもあります。でも自分やチームが関わったことで何かしらの変化が残せたとしたら本望だなと毎回考えています。そしてまた次の案件に向かうわけです。
企画内容がどんなに華やかでも、実働部隊は水面下で大騒ぎしながらも意外と地味にコツコツと積み上げていくもの。クライアントやエンドユーザーの肯定的なリアクションが見れれば誰からも褒められなくても一人でにやけて満足だったり。
こういう仕事の積み重ねで世の中動いているのかなと思うと色々と想像できる場面が多くなるので楽しいです。2018年も今日で仕事納め。また2019年も大騒ぎしながら粛々と仕事していきたいですね。ではでは。