働き方

【仕事】ボールが手元にある時間を最短にすることが仕事のストレスを劇的に減らす

仕事を円滑に進めるコツってなんだろう。という話。

結論はタイトルの通り。キャリアが浅い新入社員や転職したての人向けの内容です。

嫌な仕事ほど後延ばしにしたくなる

誰にでも苦手意識はある

仕事がうまくいかなくて嫌になることって誰にでもあると思います。

その「嫌」の原因が何かが重要なのですが、ここではそれが「うまくいかない」という経験やおそれによるものだと考えてみましょう。

特に社会人になってばかりだったり、新しい職場に入ってばかりだったりすると、「ちゃんとタスクを仕上げてから次に渡さないと怒られる」というような感覚に陥る人がいます。それは向上心と捉えれば素晴らしいことですし、模索の中から成長が促されることもあるでしょう。

その一方で、限られた時間の中で少しでもパフォーマンスを上げるためには「スピード」が重要になります。

積極的先延ばし

以下、個人がすべき仕事や作業を「タスク」、会社や部署として案件として進める仕事や作業を「プロジェクト」とします。ここでは営業、企画、制作、クライアントなどそれぞれの立場でのタスクの集合体がプロジェクトです。

さて、仕事のスピードには2種類あります。

1)「本人自身が抱えるタスクのパフォーマンス」としてのスピード

2)「プロジェクト全体のパフォーマンス」としてのスピード

前者は自分自身がそのタスクに取り掛かっている時間を最短にするという意味でのスピードです。この場合、プロジェクトがほぼ自分一人で完結するものであれば(例えば学校の宿題のように)、提出期限までのどのタイミングであっても、タスクパフォーマンスが最大化されるのであればOKです。

「積極的先延ばし」「積極的先送り」「積極的遅延」という考え方があります。これは、締切が近くなるほど集中してパフォーマンスが上がるために、個人が「敢えて積極的に作業に取り掛かるのを遅らせる」というものです。

タスクのパフォーマンス最適化

個人で完結するタスクならタイミングは問わない

例えば、夏休みの宿題(タスク)を最初に済ますか、最後にまとめて仕上げるかといった良く聞く話。最初に済ませてしまう方がパフォーマンスが上がる人もいますが、最後に締切に追われて集中する方が短時間で済ませられる人もいます。あなたはどちらのタイプでしょうか。

この例の場合で、夏休みの最初は時間的余裕があるので5日間で終わらせるが、夏休みの最後は時間的余裕がないので3日間で終わらせられるタイプの人がいたとします。限られた夏休みの時間を効率的に使うには、最後に宿題を過ごした方が良いことになります。2日間短縮できて、その分が浮くという考え方です。

一応前提として、宿題以外にも別なタスクを想定している場合ですけれどね。塾に行くとか、自学するとか、遊びに行くとか、お盆にお墓参りに行くとか、ぼーっと過ごすとか。

仕事の場合は状況によって異なる

仕事でもたまにこのようなことはあります。

手一杯のタスクを抱え続けていて期限が近いものからこなし続けないと追いつかないような場合と、「なんとかなるだろう」と後延ばしにされる場合です。

前者ならパフォーマンスは良くなりますが、後者は数人が関わるプロジェクトの場合には他のスタッフにとって少々面倒です。

プロジェクトのパフォーマンス最適化

タスクのボールを受け渡しながらプロジェクトは進む

各個人のタスクをボールとして渡し合いながら全体のプロジェクトがゴールに進んでいくとしてみましょう。

ゴールまできれいにボールが渡されていくのが理想ですが、現場ではそうではない場合の方が多いかもしれません。

例えば企画・制作の場面ではよくあることなのですが、締切ギリギリまで進まず、または原稿が入らず、または校正が出てこず、最終的にバタバタと仕上げる場面が見られます。

これはいくつかの要因があります。

パフォーマンス低下の要因

まず、タスクを手にしている個人が他にも手一杯のタスク群を背負っているために最終締切(本当のギリギリのラインをデッドといいます)が近い順に仕上げられている場合。

次に、営業担当などが「特に意味もなく」「前例案件のスケジュール感から」「面倒なので」等といった理由で手元にタスクボールを持ち続けている場合。

または、プロジェクトチームの進行やマネジメントに何らかの障害があってクライアントがクオリティに満足していなかったりタイミングが合わなかったりして保留されている場合。ペンディングと言ったりします。

最後に、これは特に新人さんや完璧主義の人に多いのですが「100点を目指して納得いく仕上がりになってから次に渡そうとして時間がかかっている」場合。

心当たりはないでしょうか。

個人のタスクを最短にする

一つ一つの要因に対しての解決施策を考えることはできますが、複数名でプロジェクトを進めている場合に共通して言えるのは「個人がタスクのボールを持っている時間を最短化するべき」ということです。

言い換えれば、ボールの受け渡し回数を最大化することで結果的にパフォーマンスを高めることに繋がるということです。ボールを持っている時間を短くすること、そしてそれをどんどん受け渡し合うことを意識することでパフォーマンスを上げることができます。

もちろん関わっているスタッフのスキルが高ければ、タスクの手持ち時間を最短化しつつ、受け渡し回数も最小にすることでプロジェクト全体のスピードを最短にできます。これは個人のタスクの最短化の次の基準になります。

1週間で90点よりも5時間で30点の方が優秀

特に最初は方向性の確認も兼ねて早く

タスクボールを次に渡す場合のコツがあります。「完璧を目指さない」ということです。項目タイトルにも書いたとおり、「1週間かけてなんとか90点まで上げて次に渡す」よりも、「5時間で30点でも良いから次に渡してしまう」方が結果に繋がります。

前提として、1週間後かけて自分でボールを持ち続けても大抵の場合は独りよがりで90点までいきません。せいぜい60〜75点です。

だから開き直りましょう。5時間後に「30点かよ」とダメ出しされても構いません。そこからのフィードバックで方向性の確認ができるからです。ボールを渡した相手が職場の先輩であれば経験に裏付けられた的確なアドバイスも一緒に返ってくるでしょう。

いずれ翌日にはまたボールが返ってきて、それを今度は1日2日かけて60点まで上げて2回目として渡します。これを繰り返すことで、1週間後には極めて90点に近い仕上がりを目指すことができるはずです。

プロジェクトは全体スピードを重視する

結果的に、プロジェクト全体のパフォーマンスは上がっていきます。その流れを自分の手元で滞留させないことです。しばらくして仕事に慣れてくれば、最初のボールを60点で渡すことも可能になってきます。

1週間かけて結局忙しくて手が付けられず、積極的先延ばしのスキルを用いても50点で渡さざるを得ないよりは、30点でも良いから5時間で一度次に渡してしまうこと。これが仕事のコツです。

プロジェクトが大きくなるほど、関わるスタッフが多くなるほど、ベテランスタッフの割合が多くなるほど、あなたをサポートしてくれる力も大きくなりますから、できるだけ早く次にボールを渡すことを心がけてください。苦手意識があって手元にボールがあると心理的にも辛くなってきますからね。

企画現場でのスピード要請例

私もコンペ仕事で企画書をまとめる担当(フィニッシャーと言ったりします)を請け負うことがあります。あちこちからバラバラに送られてくるパーツを集約し、全体の意図を汲んでコンセプトを作り、各パーツが論理的につながるように組み立てる役割です。ツギハギではなく、ひとつの「企画書」に仕立てる仕事です。見た目のデザインも統一調整します。あまり表には出ない役割ですが。

2018.09.04.追記

フィニッシャーについて補足。業界や企業などで言い方変わるかもしれませんが、基本的には企画書の「仕上げ」をする役割のことを指します。

ただし私の場合はコンセプトメイキングから全体の論理立てまで含めて受けることが多いので、「フィニッシャーお願い」と言われた場合には「初期構想から加わって企画書作成してコンペに勝つところまで」の一連のお手伝いを含んだ意味合いでやり取りします。

初回打ち合わせで「ざっくりこの方向ね」と決まれば各スタッフからその意図に合わせたパーツが集まります。そこでプロジェクトチームの意向や思いを汲み取って最も確かに伝わる形に組み立てていくイメージです。

ちゃんとした形の企画書に仕上げるのって結構な労力なので、それぞれ他にも仕事を抱えているスタッフ陣はパーツ準備に特化して、作業の早いフィニッシャーを一人立ててしまう方がパフォーマンスが良くなる場合があります。

 

この時にチームにお願いするのがまさに「各ページはパワーポイントで整えなくても良いので、それぞれ40〜60点くらいで最初の集約タイミングを早くしてください」ということです。最終的にほとんど1から組み直すので、各スタッフが見た目の調整で3日かかるのであれば箇条書きでも良いから1日でもらった方がパフォーマンスが良くなります。細かい修正は2回目以降のボールの受け渡しで調整すれば良いのです。

 

もし仕事を手元に持ったままになりがちで辛い思いをしがちな方は、タスクボールをとにかく早く次に渡してしまうことをまず実践してみてください。ストレスも減ると思いますよ。

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