働き方

布から1年かけて作ってきたホームスパンのジャケットがついに完成。

ホームスパン ジャケット みちのくあかね会

2018年12月に発注してから1年。布地をオリジナルで1から作ってもらった関係でここまでかかったホームスパンのジャケットですが、仮縫いの確認から2週間弱でついに完成しました。

岩手のホームスパンでジャケットを仕立てるぞ。【みちのくあかね会】仕事柄、故郷岩手の産品やプロダクトを県外の方々にどうやって手にとってもらったり食べてもらったりするかについて取り組むことが多い最近です。...
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1年以上かけて1から仕立て中のホームスパンジャケット。仮縫いの確認・調整に行ってきました。故郷で1から作られたジャケットを着たいなぁと思い立って、1年をかけて先週ついに生地が出来上がったホームスパン。テーラーさんに採寸していた...

念願のホームスパンジャケットは柔らかくて暖かくて最高。

完成の報告を受けたので「みちのくあかね会」さんの工房での引き渡しに行ってきました。テーラーさんでの引き渡しでも大丈夫なようなのですが、折角なので布地を織って頂いた工房の方にも見ていただいた方が良いなと思いましたので。

1年かけて作ってきたホームスパンのジャケットですから、仕立て上がった完成品を目の前にするとグッとくるものがありますね。

冒頭のアイキャッチの写真が完成したジャケットのアップです。写真だと目で見る色とはどうしても印象が違ってきますが、実際のジャケットはイメージしていた色合い通りになっていて非常に満足しています。

ホームスパンは様々な色の糸を撚り合わせた上で更に経糸と緯糸として織り込むことで色合いを作り出しています。このジャケットも遠目に見ると青緑系の1色に近いのですが、近づいてよく見ると非常に多くの色の糸が混ざっていることがわかります。この遠近での解像度の差のようなものが色合いの深みになっているんですよね。

また袖を通してみると非常に柔らかいことも特徴です。

一般的にホームスパンというといわゆるハリスツイードのイメージが強いかと思いますが、布としては結構固めの印象がありますよね(布の種類としてのハリスツイードはものによって千差万別かもしれませんけれど)。仕立てた服にしても同様で、どちらかというと固め、厚め、重めというイメージがあるように思います。

ただこのホームスパンジャケットはかなり柔らかい印象です。これは布地自体を薄めにできる平織りにしてもらっていることもありますが、そもそもホームスパン自体が布地を固くしすぎないように空気を含むような織り方をしているからかもしれません。

着心地が非常に暖かいにも関わらず柔らかくて軽めに仕上がったので、秋〜冬〜春先までのオン・オフ問わずに着やすいジャケットになったかなと。もちろん仕立てたばかりですからパリッとしているのはどんな服でも同じで、暫く着続けて身体に馴染ませていく必要はあります。ホームスパンは工芸品みたいなものですから着古すというよりはエイジングするという表現が合うのかな。

それにしても暖かさは予想以上だったので、マフラーとインナーを工夫することで北東北でもアウターとして着るのもありだなと感じます。

また令和元年が終わる前に間に合わせていただいたので、「子どもが生まれた年から着ている」と言えるのも嬉しいですね。このジャケットを着て親子の写真を撮って残していきたいなとも思います。

今回のホームスパンの工房&テーラーさんにとってはこれまでで最も若い客だったようで。

引き渡しの時に色々と雑談含めてお話してきたのですけれど、今回お願いした工房&テーラーさんにホームスパンの布地&服の仕立てをお願いしたお客さんとしては私が歴代で最も若い人だったようです(現在36歳です)。

ホームスパン自体が比較的高齢の方が着るイメージが強いということもあるのだと思いますが、親の定年退職のお祝いに子どもたちがプレゼントとして作ってあげたりするようなことが多いみたいですね。

また仕立ての職人さん方も作り方として手慣れているのが流行り廃りとは関係ないオーソドックスな型で、これは「どの時代でも古くならない」一方で「若い人にとっては野暮ったいデザインに見えがち」というのもあるかもという話でした。

ホームスパンは数十年着続けたり、親子で受け継いだりして着ることもあるくらいのものなので「どの時代でも古くならない」というのは大きな魅力です。ただし若い人でもカジュアルに着やすいデザインの選択肢が増えていったり、イメージが更新されていくことも大切なのかもしれないなとも感じます。

あとは単純に安価ではない価格帯の製品になるので、ファストファッションで十分という感じだと選択肢に入りにくいということもあるでしょうね。私の場合は普通にファストファッションに組み合わせるつもりで、よく言われる「靴と腕時計には金をかけろ」みたいなレベルで、ピンポイントでホームスパンの製品を1つだけ身につけておく感じで良いのかなと思います。

スーツやジャケットも安価なものを1〜2年で着潰しながら買い替えていくのもありだと思います。ただ数年以上の単位で考えると結構な積算になっていきますから、良いものを長く使う方が結果的にパフォーマンスが良いということもあるんですよね。

そういう意味では手間暇かかった1点ものとしてのホームスパンの製品は、大量生産の製品と比べると高価ではあるものの金額以上の価値を持っているものだと感じます。

まとめ

ということで1年以上かけてついに完成したホームスパンのジャケット。大切に着ていこうと思いつつ、だからといって着る機会を絞るということもなく普段使いしていくつもりです。こういう地元の歴史や文化に紐付いた物語のある製品を着こなせるようになっていきたいものです。

東北の冬は長いのでシーズンとしても結構長く着られるかなと思っています。雪が解ける頃までは着続けたいですよね。暖かくなってきてからはまた何かしら地元の伝統工芸的なもので身につけるものを探して、オリジナルで作ってもらうことも考えてみたいなと思います。ではまた。

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