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「おーなり由子」が描く童話は日常に潜む空想SFのよう。
おーなり由子さんを知っていますか。
私がおーなり由子さんの本に出会ったのは高校生の時、もう20年も前のことです。本の虫だったと同時に多感な時期で、その年齢なりの悩みや感情の起伏があったように記憶しています。
ある時、通学路にあった本屋(ツタヤでしたが今は本は取り扱わないレンタル専門の店舗になってしまいました)でふと手にした「天使のみつけかた」という文庫の最初を立ち読みして惹かれてしまいそのまま買って帰りました。
絵柄は女性的で、文章もやさしいリズムの読みやすい文体、でもどこかSFファンタジーだと感じたのです。あ、私は男子高生でしたよ。なんというか、さとうさとるさんの「だれも知らない小さな国」シリーズに感じたわくわく感がそこにあったような。
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なんとなく女性向けなのかなと思いながら不思議とハマってしまったのです。それから数冊立て続けに集めて、その本は約20年経った今も家のリビングの本棚にあります。背表紙はちょっと色褪せてしまっていたりしますが、たまに手にとってパラパラ読んだりすると、もしかしてこれ大人のためにも書かれていたのかもしれないと感じたりするので7冊ほど紹介。
記事書くのに合わせてAmazonとかで調べて見たんですが、結構絶版になっていて驚きました。書店の都合なのかなと思いますがいつの間にそうなってしまったんでしょうね。今の時代、Kindleなどの電子書籍でも良いのでいつでも持ち歩けるように復刻してもらえないかなぁと感じます。手元にある本は約20年前に新品で買った当時のものなので、絶版だったり書店が変わっていたりするようですがご了承ください。絶版本でもAmazonで中古1円から買えるようなので(好きなほんなのでそれも少しさみしいですけれど)商品リンクは貼っておきます。
ここから始める「おーなり由子」個人的おすすめ7選
それでは私が個人的に好きな「おーなり由子」さんの本です。順位付けはしません。
【絶版】日常にひそむ天使の図鑑「天使のみつけかた」
私が最初に手にしたおーなり由子さんの本です。今でも一番思い入れがあります。
たとえばとても会いたかった人にばったり会った時。たいした事が起きたわけでもないのに、おかしくて笑いが止まらない時。それは天使のしわざです。目にみえなくても、いろんな天使がそこらじゅうにいます。この本の天使図鑑や、見つけるためのコツを読んで、天使たちと仲良くなってください。文庫化にあたって、絵を全て描下ろしました。いちばん大切な人にあげてください。
なんというか、日本の妖怪とかの類をもっと現代的な風景と天使のしわざに置き換えたような本です。挿絵とテキストの組み合わせでまさに「図鑑」のような感じですがショートショートやエッセイっぽい読後感も。
高校生の当時、実際に本をプレゼントするような機会にはこれあげてたような記憶がありますね。
少しのきっかけで景色がくるりと変わる「しあわせな葉っぱ」
手元の出版社は「大和書房」となっていて緑とオレンジが基調のハードカバーです。ある日、目が覚めると頭に芽が出ていた女の子の物語。
あとがきにはおーなり由子さんのこんな言葉が。
こんなふうに、毎日生きていく中で、いつも見えているのに見えないもの。感じているのに感じていると、気がつかないでいること―それが、少しのきっかけで、くるりと見つかって、景色が変わる時の、心がびっくりする感じや、目の前が晴れていく感じ―
そんなのを、愛しい気持ちで描いてみたいと思いました。
ちょっと甘酸っぱいような素敵な本です。
心のうごきで日常が色づいていく「きれいな色とことば」
日常の中にふと訪れる心が動く瞬間。そこから生まれるたくさんの色をおーなり由子さんの言葉とリズムで綴っているエッセイです。
いくつかのコンテンツに目次がわかれているのですが、「白い湯気のなかで」という章の最初に綴られているこの詩が結構好き。
たくさん話そう
いろいろあそぼう
こころのなかに
温泉ができるまで
おーなり由子さんの本やあとがきには「見えないものを見る」ということがテーマとして結構出てきますが、この本も日常の見えないものに気づくような感性を与えてくれるように感じます。
これは童話の名を借りたSFファンタジー 「てのひら童話」【絶版】
おーなり由子さんが書いた漫画「てのひら童話」です。エッセイや文章を読んでいるだけでもかなり楽しかったのですが、漫画になるとまた素敵な世界観に浸れます。先日亡くなられた「さくらももこ」さんが描く日常感にも通じるものがあるようなイメージと言えばわかるでしょうか。そこに童話としての不思議なエッセンスが盛り込まれて、それはSFファンタジーというか、星新一さんのショートショートのような読後感も。
毎日の一瞬一瞬を大切にしようと思わせてくれる本です。
掌の童話第2集「てのひら童話 空のともだち」【絶版】
「てのひら童話」の続編。私の手元にあるのは文庫になる前のものなので1とか2とか書いてないですね。続編とは言っても短編集なのでどこからでも読めますし、大きな意味での世界観は同じなので安心して浸れます。
ちなみにおーなり由子さんの本ってカバーを外してもちゃんとデザインされていてちょっと感動します。とても大切に本を作っているのだなとわかる装丁です。
掌の童話第3集「てのひら童話 さよならの魚」【絶版】
てのひら童話の第3集。相変わらず素敵な装丁。
手元の本の帯が残っているのですが、さくらももこさんが寄稿していました。
なんか涙がでてくるよ。
おーなりさんの心の奥からでてきた絵や言葉は、
私たちの心の奥に、温かくせつなくやさしく哀しく、
新しい感動の体験を届けてくれます。
さくらももこ
さくらももこさんの言葉も素敵ですよね。
枕元に置きたくなる絵本「幸福な質問」
彼氏彼女、結婚する夫婦へのプレゼントにも良いなと感じられるふたりのやさしい物語。
おーなり由子さんの本って大切なひとにプレゼントしたくなるんですよね。20年前の当時、結構プレゼント本が流行っていた気がします。誕生日の本とかも出始めた頃でしょうか。
高校生とかでも買えてプレゼントするのにセンスを求められるのが本選びの楽しいところでもありますよね。
おーなり由子さんの絶版本は復刻してほしい
本棚にあるのからご紹介しました。こども向けの絵本は新品で買えるようですが、今回紹介した本は結構絶版になってしまっているようで。プレゼント需要もあると思うから復刻してもらえないかなぁ。
ちなみにおーなり由子さん本人のHPが↓。2003年から更新されています。
おーなり 由子(おーなり ゆうこ、1965年2月18日)は、日本の絵本作家、漫画家。大阪府出身。女性。夫は絵本作家のはたこうしろう。
1982年、『りぼんオリジナル』(集英社)秋の号に掲載された「路地裏の風景」で漫画家としてデビュー。1985年に初短編集『秋のまばたき』に続いて、1987年『六月歯医者』、1988年『グリーンブックス』、1990年『ともだちパズル』の計4冊の漫画作品を発表するものの、1992年の『天使のみつけかた』以降は活動の中心を絵本に移す。1999年には北村薫の『月の砂漠をさばさばと』の挿絵を担当した。
NHK「おかあさんといっしょ」中の歌「あめふりりんちゃん」、「ハオハオ」の作詞も行なっている。
〜Wikipediaより引用〜