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【レビュー】「キャッシュレス決済」関連の入門書籍〜おすすめ本10冊比較まとめ〜

【書籍】「キャッシュレス決済」関連の入門書籍〜おすすめ本10冊〜

2019年10月の消費税増税に合わせて最大5%のポイント還元が予定されているキャッシュレス決済。政府は2016年時点で日本国内のキャッシュレス決済が20%程度だったものを2020年までに40%まで引き上げることを目標として示しており、政策的にも補助金的にもキャッシュレス有利の状況がしばらく続くと思われます。

その中で、先日ちょっとしたセミナー依頼に対応するためにキャッシュレス関連の本を資料としてまとめて購入しましたので記録兼ねてまとめて簡単にレビュー。

専門家・講師として講座・セミナーに登壇する場合のスタンスと事前準備について
専門家・講師として講座・セミナーに登壇する場合のスタンスと事前準備について先日とある商工団体からキャッシュレス関連の講座講師に呼ばれて登壇してきました。 講師を頼まれた時には内容によって関連資料をまとめて...

キャッシュレス関連書籍10冊

企画・講師関連で資料をざっと集める時にはAmazonで軽くレビュー見た上で10冊程度まとめて購入することが多いです。今回も同じような買い方をしたので紹介順序がランキングというわけではありません。一通り読んでいるので簡単な感想を付けておきます。専門性が高いものではなくて入門用にも読みやすいものを選んでいるのでご参考まで。

『キャッシュレスで得する! お金の新常識』

あとがき(エピローグ)の終わりが188頁というボリュームの新書で読みやすい一冊。取り敢えず周辺情報に目を通してみたい方におすすめ。

手元の本は「2018年7月15日第1刷」となっていて2018年末のPayPay祭りなどは当然ながら触れられていないが、「◯◯ペイ」系のQRコード決済についても掲載されている。

章立ては以下の通り。

はじめにーキャッシュレス化によって大きく変わるお金の常識

第1章 まだ財布なんて持ち歩いてるの?!

第2章 キャッシュレス後進国・日本にも大きな変化が

第3章 ここまで進んでいる! 世界のキャッシュレス最前線

第4章 キャッシュレスの先導役を果たしたクレジットカード

第5章 キャッシュレス時代の覇を競う「ポイント」サービス大戦争

第6章 新たな主役「電子マネー」と「スマホ決済」を賢く使いこなす

第7章 フィンテックが切り開くキャッシュレスの新地平

エピローグ 2020年のキャッシュレス革命とその後

上記からわかるようにキャッシュレス関連を網羅的に紹介しようという意図が読める内容で、事例も含めて具体的な記述も結構あり読みやすいです。ただし経済系の情報って日々変わっていくものですから、本書読みながらネット検索かけて知識補足していくのがおすすめです。

あと余談になりますが第7章の「切り開く」って「切り拓く」と使い分けどうなんだろうと調べてみたら「どちらでもOK」という結果でした(こういうの気になる)。

『キャッシュレス革命 2020』

この本は日経BP社発行なので良いかなと購入したのですが、手元に届いてよく見たら「2014年10月14日 初版第1刷発行」で結構古い本でした。

タイミング的には2014年6月24日に日本政府が「改訂版 日本再興戦略」を発表した直後ですね。この中で東京五輪開催に向けた対応として「キャッシュレス化に向けた対応」という題目で「関係省庁は2014年末までに対応策を取りまとめる」という方針を打ち出したので、それに合わせて出版されたということでしょう。

はじめに

序章 「現金決済社会」が抱える課題とは

第1章 キャッシュレス決済の現状

第2章 各種ペイメントカードの現状と今後

第3章 キャッシュレス化で得られる効果

第4章 消費者の期待と技術の進化

第5章 キャッシュレス化に向けた政府・行政の取り組み

第6章 キャッシュレス化の課題と解決策

第7章 2020年ーキャッシュレス社会の姿

政府発表を踏まえて「キャッシュレス化」についてまとめられた書籍なので、前述の新書に比べると取り上げられている範囲は絞られています。あと専門書によくありがちなのですが教科書っぽいというか「読んでいると少し眠くなる」的な文体です。

発行年古めですが内容はキャッシュレスの歴史なども含めて普遍的というか資料的な記載も多く今でも通じるものが多いです。最初の1冊というよりは、ある程度のベース知識を得た上で情報を強化するために読むのがおすすめ。

『使えるテクノロジーはこれだ! 図解 FinTechが変えるカード決済ビジネス』

これは「FinTech(フィンテック)」視点からの書籍。キャッシュレス化の知識については「仕組みや制度」という運用面の情報だけではなく「キャッシュレス化を実現するフィンテック」といいう技術面の情報も入れておきたかったので購入。2017年2月20日 第1版第1刷発行で少し古いですが基礎知識は変わるものではないので問題なし。

ちなみに「FinTech」は「Finance(ファイナンス・金融)」と「Technology(テクノロジー・技術)」を合わせた造語です。

横文字って難しそうですが、簡単に言うと「技術の進歩によってお金というものも変わってきていますよ」という程度のことで、例えば紙幣・貨幣を使わなくても支払いできるようなキャッシュレス化社会もまさにフィンテックによって実現するものということです。

この書籍は「図解」だけに一般向けにもわかりやすい説明と構成になっています。

はじめに

第1章 なぜFinTechが誕生したのか?

第2章 日本のカードビジネスとFinTech

第3章 FinTechとモバイルファースト

第4章 FinTechのテクノロジー

第5章 FinTechのテクノロジーキーワードとカードビジネス

第6章 サービス分野とFinTechカンパニー

おわりに

テクノロジー寄りの構成ですがエンジニア視点でキャッシュレスを考える場合の入門書として読みやすいのでおすすめ。

ちなみに本文は写真資料も結構載っていますが(おそらく経費削減の関係で)紺色のインク1色刷りです。個人的に見辛いということはないですがスミ1色の方が読みやすいという方は一応注意。

『決済インフラ入門[2020版]仮想通貨、ブロックチェーンから新日銀ネット、次なる改革まで』

こちらは「決済インフラ」という視点からの1冊。2018年8月2日発行。

まえがき

第1章 変わる決済インフラ

第2章 決済インフラの政府の方針と対応

第3章 決済の基本

第4章 現金系決済

第5章 口座振替系決済

第6章 銀行間決済

第7章 海外系決済

第8章 証券系決済

第9章 決済リスク

最終章 近未来の決済インフラと金融

章立ての通り結構専門性の高い内容です。キャッシュレス関連は私が欲しい情報としてはちょっと方向性が違いました。例えばQRコード決済については第4章の最後に7行程度で紹介されているくらい。

入門書とはなっていますがどちらかというと専門用語などの解説が項目ごとに続いていくようなイメージで教科書っぽいですね。

『プラットフォーム革命 経済を支配するビジネスモデルはどう機能し、どう作られるのか』

こちらはプラットフォーム視点からの本。手元の本は2018年2月10日 第1版第1刷、2018年4月25日 第1版第2刷。

アプリコの創業者・CEOであるアレックス・モザド氏と、アプリコのプラットフォーム責任者であるニコラス・L・ジョンソン氏の共著の訳書。モバイル技術とプラットフォーム技術の専門家による著書という理解でOKです。

プロローグ 燃えるプラットフォーム

第1章 プラットフォームが世界を食い尽くす

第2章 ハイエク対コンピューター
    または20世紀についての知識すべてがまちがっている理由

第3章 限界費用ゼロの会社

第4章 現代の独占
    プラットフォーム資本主義と勝者総取り経済

第5章 ビリオンダラー企業をデザインする
    コア取引がティンダーの成功を説明する理由

第6章 見える手
    プラットフォームの4つのコア機能

第7章 ネットワークに仕事を任せよう

第8章 なぜプラットフォームは失敗するのか、
どうすれば失敗を避けられるのか

結論 次のビッグチャンスを見つける方法

海外のビジネス書の訳書を読む方ならわかると思うのですが「それ系の構成・語り口」です。目次のタイトルを読んでいくだけでも語り方が日本とは違うよなぁといつも感じます。日本でもこういう語り方がもっとできれば専門書もさらに楽しく読めるのですが。

内容としてはタイトルの通り「プラットフォーム」における革命と企業間の戦いについて最新技術やマーケティングも含めて興味深く読み進められる一冊です。

特に第4章の「勝者総取り経済」などは現在の「〇〇ペイ」乱立や「PayPay」の100億円戦略の裏側を考えるのに面白いですね。

専門書をまとめて10冊くらい読む際にはこういう海外著者の本も入れるのがおすすめ。原著にあたっても良いのですが訳書でも(翻訳者にもよりますが)説明表現の学びにつながります。

『日経MOOK キャッシュレス決済革命』

ここからはムック本や雑誌など。書籍に比べると基本的にカラーで図表や写真も大きくわかりやすいので、「The 入門書」的なハードカバー本よりも最初の1冊には読みやすいです。

この本は日経MOOKなので試しに買ってみました。2018年3月1日発行。

巻頭企画 シーン広がるキャッシュレス

PART1 キャッシュレス決済のすすめ

PART2 進化するキャッシュレス決済

PART3 クレジットカード、電子マネーの実力

PART4 収益を伸ばすキャッシュレス決済

PART5 先進事例から学ぶキャッシュレス決済

PART6 仮想通貨が決済を変える

ムック本なのでしょうがないのですが内容はあまり深くはありません。あとPR記事も中にいくつか入っています。

さらっと読むには良いですが文体はよくあるビジネス雑誌系の語り口なので、一般向けまではやわらかくなく、専門書までは深くなくといった感じで中途半端に感じる方もいるかも。今回の私の目的ではあまり参考になりませんでした。

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『週刊エコノミスト 2018/3/6号 〜さらば!現金〜』

まとめて関連本を購入する際にはこのような週刊誌もたまに入れます。俗な部分もありますが、表現が一般向けに砕かれていることもあるのでわかりやすく説明する際に参考になる場合があるからです。

あとは週刊誌だけに情報が新しめであることが多いということもあります。今回は適当に検索して特集組んでいたものを買ったので「2018年3月6日号」とちょっと古いですが、Amazon Goの記載もあったので参考にしました。

これ系は目次や内容をざっと拾った上でトレンドを把握して、あとはネット検索で第一次情報の最新情報を探すのが良いです。Amazon Goなら実際にAmazonのサイトで見るのが確実ですよね。

同様に例えば国の動きなら経済産業省などのサイトで公開されている資料を見ていくとか。まぁ当たり前なのですがニュース記事などのみだと要約されているわけですから、できる限り原文・第一次情報にも目を通して理解するのがおすすめです。

『日経BPムック QR決済 日本列島を覆い尽くすキャッシュレスの本命はこれだ』

QR決済のムック本としては非常によくまとまっています。2つ前に紹介したムック本とは別格。2019年1月30日発行。

第1章 財布よさらば 脱現金列島

第2章 中国が最先端、脱シリコンバレー時代の到来

第3章 識者が語るキャッシュレスの未来像

第4章 QRコードをもっと安全に 開発最前線

ムック本ではありますが情報も比較的新しいし「QR決済」に特化した視点なので比較的深く掘り下げている部分もあり満足。日本各地の事例についても紹介されていて、データや図表を用いた読みやすい構成も好感が持てます。

あと第4章のQRコード自体の開発最前線を取り上げているのも良いですね。技術的な理解もしておくことは講座での質疑応答などでプラスアルファの知識共有もできて参加者との質の高いディスカッションにもつながります。

ボリュームも約170ページと十分なので、キャッシュレス関連本で迷ったら取り敢えずこれ1冊買って読んでみてから他の本に手を広げていくのがおすすめ。

『日経トレンディ No.443 2019.2月号 臨時増刊
丸わかり! これから日本に起きること
未来予測 キーワード&カレンダー 2019年版』

これはおまけ的に購入。日経トレンディの増刊。

「未来予測 お金」という項目で取り上げられているのはp14〜p15の見開きのみですが、一般向けにまとめられた表現を見ておきたかったということで。

トレンド本は「目次」みたいなものですから、私は1冊手元に置いて気になる部分に付箋貼っていって順番にネットで検索していくという読み方をすることが多いです。最近だともう付箋も貼らずに本&ネットで読み進めることも。

ちなみに雑誌ってここ数年でそれほど頻繁には買わなくなってしまっているのですが(dマガジンを利用していることもあり)、紙の本として手元でペラペラとめくりながら考える時間って今でも結構好きです。

dマガジン系って一定期間過ぎると消えてアクセスできなくなるので、結局立ち読み的に使いつつ手元にずっと置いておきたいものは購入するというスタイルになっています。

『月間住職 No.242 2019.1月 正月号』

これはおまけっぽくて本命(笑

なんと「スマートフォン世代への新たな寺院対応 お寺もキャッシュレスやポイント制を始めなければならないか」というページが組まれているんですね。P74〜p77です。

Twitterで話題になっていたので購入しようと思ったらどこに行っても売り切れで、ネット上でも手に入らず、タイミング良くフリマアプリで見つけたので購入。

読んでみるとキャッシュレス以外でも結構攻めている月刊誌でした。しかも創刊45年目。

講座などではブレイク用にひと笑い欲しいので、こういうネタを実物持って臨むのがおすすめ。

まとめ

以上、ざっと今回購入したキャッシュレス関連書籍をご紹介しました。

取り敢えず1冊読むなら、新書のキャッシュレスで得する! お金の新常識か、ムック本の日経BPムック QR決済 日本列島を覆い尽くすキャッシュレスの本命はこれだがおすすめです。ではまた。

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