たまに持ち出すデジタルハリネズミ。
発売当時は110カメラのデジタル版として高い印象だった。
2009年の発売当時はヴィレッジヴァンガードで見かけても中々買うまでいかなかった。なぜなら思っていたよりも大きかったことと、約1万7千円という価格だったから。
もともと「ハリネズミ」シリーズは110フィルムを使った小さなキーホルダーのおもちゃみたいな簡易カメラで1つ1,000円くらいのものだった。110カメラは小さくて軽くて現像するにもちょっと時間とお金がかかるけれどなかなか良い雰囲気の写真が撮れる。
個人的には「ベビーホルガ(HOLGA MICRO-110)」を愛用していたが、ハリネズミカメラも可愛いのでシリーズをいくつか持っている。
それが2009年で110フィルムの製造終わることとなり、ハリネズミカメラのデジタル版として世に出たのが「デジタルハリネズミ」だ。
ベビーホルガのサイズに慣れていたからか、このデジタルハリネズミは少し大きく「でっぷり」した印象を受けた記憶がある。今見ると全然そんなことないのだけれど。
そして結構な高価格。トイカメラ・トイデジ枠とはいえ、これだと同じ値段である程度のコンデジも買えたのでその時は決心がつかなかったわけだ。
あの時代に自分の感覚が追いついた結果の沼。
それから数年経って、ふと使ってみたくなってしまった。
求めていたのは110フィルムの粒状感・空気感。ただし110フィルムは基本的にもう手に入らない。35mmフィルムでいけるハーフカメラも試してみたが、これはこれで楽しいけれど少し違う。
答えとしてはデジタルハリネズミしかない。そこで中古で手に入れて、ハマった。これ当時買ってたら楽しかっただろうなとも思いつつ、自分が今の年齢・環境になったからこそ楽しめるのかもしれないなとも感じた。
気になってさらにいくつか手に入れてみたら、シリーズや個体によって写りに差があることがわかった。これは沼だ。ハマるとまずい。と直感した。
中古で手に入れようとすると、ジャンクではない傷あり箱なし可動品で6千〜1万円超のラインになる。10個買えば6万〜10万。ちょっとしたミラーレスカメラが買えるじゃないか。数少ない新品なら4万前後が相場だ。
カメラにおけるコレクションや沼の危険性は、「結局最終的に使うのは1つだとしてもそんなの関係なく無尽蔵に欲しくなる」ことと、「1つ1つは安価でも数の暴力で結局相当な札束が飛ぶ」ことである。
なんだかんだ言ってコレクションしてしまうのだが(小声
hana-hariモデルがお気に入り
私の場合はある程度の所でパートナーと言うべき画を吐き出す1台には出会えた。
「デジタルハリネズミ 花はりねずみモデル」だ。
電池蓋の爪が折れていたので別個体の黒い蓋と交換したためパンダになっているがそれも愛嬌。粒状感、ボケ、画のくすみ具合、青。この個体の写りが最も自分のイメージに近い画を吐き出した。以来、撮り比べ以外で持ち出す時には基本的にこれを使っている。
さて、いつかはこれも使えなくなるだろうから予備の個体も探しておかなければなとも感じつつデジタルハリネズミ沼の畔でシャッターを切りつづけようと思う。