たまにメルカリやヤフオクで古いカメラがないかなとザッピングすることがある。
流れてくる画像を見ながら、直感でどこか気になるものをお気に入りに追加して、たまに買ってみる。
ほとんどはジャンクだったり古くて汚くて安かったり。それでも惹かれて手元に来たやつは手入れして散歩に連れ出してみたりする。
その中のひとつがCONTAX T2だ。
フィルムカメラが見直されている平成の終わりに、このカメラは当然のように再評価されてちょっと高騰していたから、気にはなっていても手にする機会はなかった。
ある時、ザッピングの中で目にとまった写真。それはケースに入ったままのいくつかのカメラだった。遺品整理でとの説明書き。中身はよくわからないが、それもひとつと思い購入を決めた。
道具を引き継いでいく感覚は好きだ。前のオーナーに大切にされてきたものを、手入れしながらもう少し先の時代に連れて行く。そのものの価値が高いかどうかは関係ない。
さて、後日送られてきた箱の中にはタオルにくるまれガムテープが貼られたいくつかの塊。無造作に止められたそれを剥がしてタオルをほどいてみると、現れたのがT2だったのだ。
角に少し傷があるがそれも思い出に大切に使われてきたのだろう。CR123Aを入れると心地よい機械音とともに息を吹き返した。
期限切れのフィルムしかなかったが装填して、撮影して歩いた1枚が最初の写真。盛岡市の菜園あたり。
T2で撮ると決めたら、他をおいてもT2をテーマにし続けなければならないかもしれない。そう思わせる何かを持っている。だからまだ手元にある。
正直なところ、これと向き合う決心のようなものがまだついていないから常に身に付けているわけではない。流れ着いたT2の行く先は、もう少しだけ私の心に聞く必要がある。