フィルムカメラも流行り廃り
数年前からinstagramなどの影響を受けてフィルムカメラがまた流行りだして、それも一段落しつつあるのかなというのが2018年9月現在。人口ピラミッド的には中高齢のボリュームが多いはずなのに、時代の流行はやはり高校生あたりの若い人たち優先になっていくのは興味深いところです。
富士フィルムの「写ルンです」あたりも再評価されました。デジタルカメラやスマートフォンの高スペック化が進みかっちりきれいな写真が普通に撮れるようになり、さらにアプリである程度の画像加工をその場で簡単にできるようになった時代だからこそ、プラスチックレンズとフィルム独特の柔らかい写りの魅力が再認識されたという流れでしょう。
一方で流行り廃りは早いものです。フィルムカメラの再評価の流れとしては「人と違う写真を撮りたい」という欲求も含まれていて、日本の場合はマジョリティであるiPhoneによる写真に対して、フィルムでしか表現できないものが個性として求められた部分もあるはずです。これがフィルムカメラがある程度流行ってくると、今度は次の新しい表現を求めて別なものに流れていくことになります。
テレビなどのメディアや自治体レベルの取り組みになっていくると流行りの最先端からはワンテンポツーテンポ遅れて取り上げ始め、さらに翌年度予算などで事業化されることから、流行りの真っ只中にいる世代からは「今更感」が拭えない場面もあるでしょう。ただしそのワンテンポ遅れた情報発信で初めて受信する世代もいるわけで(しかも意外とボリュームが多い)、フィルムカメラの流行りもいまだ波紋が広がるようにゆっくりと続いていくのだとは思います。
フィルムは一眼ではなくコンパクトカメラ主体
フィルムカメラの流行とは言っても、その主体はフィルムコンパクトカメラです。CONTAX T2や写ルンですなどはわかりやすい例。フィルムと言っても一眼レフで撮りまくる層は非常に少ない。一眼レフになるとレンズ選びから何から本格的になりますが、それならデジタルミラーレスが今は面白いのでそちらの方が優勢になります。
フィルムカメラの良さとして機械的にはデジカメよりシンプルで電池も小さいので「軽い」ということもあります。コンパクトに軽いカメラを持ち歩いて、フィルム感が活きた写真を撮る。さらにカメラ自体のファッション性みたいなものも関係してくるでしょう。ゴツい一眼レフよりも可愛いT2の方が良いというような。この点、RicohのGRシリーズよりもT2の方が若い世代、特に女性に人気があるのは合点がいきます。
今は男性もワンショルダーバッグやサコッシュのような軽量装備で出かけるのが主流ですから、以下にコンパクトなセッティングでカメラを楽しめるのかという方向性はもう少し追求されていくでしょうね。iPhone XS MAXのカメラ機能の進化はまさにそのあたりにも合致しますが、プラスアルファでフィルムカメラを持つスタイルも面白いと思います。
敢えてフィルムで何を撮るのか?
instagramをはじめとしたSNSへの投稿前提で作品作りを楽しむならばテーマを決めやすいですが、もう少し気軽にフィルムカメラを楽しむにはどのようなポイントがあるでしょうか。
SNS前提だと万人が批評家になってくるようなイメージもあるかもしれません。実際はコミュニケーションの素材として写真を媒介にしやすい環境が整ったということでポジティブな面が多いのですが、ネットに作品発表はちょっと怖いなという方もいると思います。
写真の楽しみ方って人それぞれで良くて、散歩がてら撮り歩いて、自宅でプリントして、アルバムに貼って個人的に思い出を振り返りながら楽しむというようなことでももちろん良いわけですよね。
コンパクトフィルムカメラと相性が良いのは家族写真か日常生活の何気ない風景のように感じます。デジカメとかiPhoneでは敢えて撮らないものってあると思うんですが、その隙間を埋めてくれるのがフィルムの良さだったりするんですよね。
生活の一部としてフィルムカメラを楽しむ。
例えば台所。もう撮影用に片付けとかしないでそのまま。あとは部屋の中も洗濯物干しっぱなしで構わないので1枚。玄関に散らばった靴をそのまま。などなど、その時代時代の生活をそのまま写しておくという記録には丁度よい加減です。隅々までしっかり写りきらないバランスがまた心地よいのかもしれません。風景というか記憶を写す感じ。ボケ・ブレもご愛嬌。
テクニックを磨いて作品にすると気張らずに、SNSにあげても良いように片付けてなんて考えずに、そのままを切り取ってくれるのがフィルムカメラの魅力であり面白さなのだと感じます。
デジカメもスマートフォンに押されて高価格帯戦略にシフトしている昨今、フィルムは現像から何からお金はかかりますが数十万かけてフルサイズミラーレスを始めるよりは結構手軽に趣味として始められる金額感でもあります。このサイトのアイキャッチや記事でも紹介していきますので興味ある方はフィルムカメラはじめてみませんか。