デジタルカメラ

結局、良い仕事はなかなか一人ではできないものだから。

独立起業したり、個人事業主・フリーランスとして働くときに気をつけるポイントを一つ。

軌道に乗り始めてから少し経ったあたりに要注意。

がむしゃらな独立初期を超えて、経営を見直すタイミングが来る。

フリーランスになってある程度軌道に乗ってくると、経営的な成長や安定をどのように実現していくのかをもう一度考え直すタイミングが必ず来ます。

職種・業種または仕事の案件によって、クライアントから受注して自分の作業で完結する場合と、自分から更に協力機関に外注発注する場合がありますよね。

前者の自己完結型としては、例えばクリエイティブとか編集関連。デザイン制作、カメラマン、ライターなど。これは自分の技術で納品物を作り出すわけですから、一部実費でかかるものが経費として発生するとしても基本的には自己完結するものですから「売上(受注額)=利益」に近い形になります。

一方で、後者の自分から更に発注する場合としては、上記のクリエイティブ・編集関連が絡む案件を更に川上からディレクションする形で受けたり、デザイン案件でも印刷まで受注するような場合です。企画業だと事業関連などある程度まとめて委託受注することも少なくないので、協力機関に発注する機会も自然と増えていきます。この場合は「売上(受注額)ー外注費=利益」に近い形となります。その他経費がかかるのは自己完結型と同じです。

「売上」と「利益」についてのざっくりとした整理

この前提で経営を考える際に重要になるのが、「売上」と「利益」の違いです。おさらいすると自己完結型の場合は「売上=利益」に近い形になります。外注が入る場合には「売上ー外注費=利益」です。※この記事では結構ざっくりの話にしてます。

さて、よく聞く話ですが、個人事業主やフリーランスの場合、「売上」が大きくても「利益」が少ない場合が出てきます。

例えば仕入れ販売をするような生業の場合、8掛けで仕入れれば利益は2割。年商1,000万円と聞けばフリーなら結構稼いでるように思われるかもしれませんが、利益ベースだと年収200万円といった感じ。これだと少ないですよね。年商500万円でも自己完結型なら年収500万円に近い結果となります。いずれも税金など色々引かれるので手取りはもっと少なくなりますが。

利益率を高めたいと考える場合の方向性

そうすると、結局の所「いかに利益額を大きくするのか」という問題になりますよね。自己完結型なら仕事の数を増やすか、単価を上げるか。外注が入る場合には、仕事の数を増やすか、単価を上げるか、更に川上からの仕事を大きめのグロス金額で受けるか、外注費を抑えるか。

同じような仕事を考えた場合、基本的には自己完結型の方が売上は少なくなりますが、キャッシュフローも単純になりますので経営的には無理がかかりにくいです。一方で、できるだけ事業全体を川上からワンストップで受注して受注金額を大きくすればするほど、キャッシュフロー・運転資金が必要になりますが利益も比例して伸びる傾向にあります。

一時的な利益追求に目が眩んでしまうことに潜む罠

冒頭の話に戻ります。経営がある程度伸びてきて、川上から少し大きい仕事も受けられる様になってきて、利益も安定してきて経営的な成長を考えるタイミングになった場合。

やりがちだけれど悪手になりやすいのが、「ワンストップで受託した上で、外注費を極力減らして自己完結型にシフトすることで利益を最大化する」または「ワンストップで受託した上で、協力機関への外注費を限界まで絞ることで利益を最大化する」ことです。

これは短期的には利益につながるかもしれませんが、多くの場合「協力機関を切る」ことになります。更に外注費を絞ることで仕事の質も落ちます。仕事の質を落とさないで外注費を落としているとすれば協力機関に無理がかかっています。その瞬間は良いと思うかもしれませんが、そのようなクライアントには協力機関は多くの場合、これまで通りのレベルでは協力しなくなります。当たり前ですよね。

その後、どうしても困って助けを求めたときにはもう遅いことがあります。自分から仕掛けたのだから仕方がありません。結果として、「経営が伸び始める」→「協力機関への外注費を絞るか、内製化・自己完結型にする」→「一時的には利益が増えていく」→「内外のどこかに歪みができて自壊する」という流れになります。社員・スタッフを雇っていた場合には辞めていくこともあるかもしれません。

仕事は可能な限り「チーム」として考える

もちろん、経営という側面からある程度の利益バランスを取っていくことは大切ですが、いきすぎないようにしなければどこかで危険信号が灯る可能性があるということです。

仕事は一人でやるよりも「チーム」で役割を分担して総力戦にした方が多くの場合、質が高まります。人が増えすぎると良くない場合もありますが、適度な人数であれば一人よりは必ず良い結果につながります。フリーランスとして働いていると、特に自分の手元に利益を残そうとすると、できる限り一人で進めたくなるものです。自己完結型の作業であれば構いませんが、意識としては可能な限り「チーム戦」に持っていくことをおすすめします。もちろん、利益分配も適切なバランスで。

まとめ

一時的な利益に心を奪われないようにするのがフリーランスや個人事業主も含めた経営者の大切な姿勢です。「良い仕事をする」ことを第一に考え、役割分担できるところは手分けして進めていくこと。プレーヤーとしての立場もありつつ、できるだけマネジメントやディレクション的な立場にも立つこと。それが仕事の質を上げ、中長期的に経営を安定させていくポイントになります。質を高めることを忘れなければ、大抵の場合は利益は後からついてくるものです。

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