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【GRDIII】デジタルデータ時代のモノクロ撮影

【GRDIII】デジタルデータ時代のモノクロ撮影

デジタルデータは後加工が楽ですよね。トリミングもレタッチも。

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フィルム時代の「写真」と「現像」

CONTAX T2

フィルム時代はカラーかモノクロかというのはフィルムそのものに依存していたので、そもそもメーカーやシリーズを含めてどのフィルムを選ぶのかということ自体が「写真」の醍醐味でもありました。

モノクロ写真は暗室と機材さえあれば比較的簡単に個人でも現像できるので作品作りをする方であれば心得がある方も多いかもしれませんね。

ただ通常はカラーでもモノクロでも写真屋に現像・プリントをまとめて頼むのが一般的でした。そういう意味では写真は「カメラ選び」「レンズ選び」「フィルム選び」という事前の柱があって、そこから「被写体選び」と「技術磨き」というような要素が重なっていくということです。

撮影後は現像方法の指示やラボ選びという要素もあるにせよ、ある程度はオートで仕上がってくるのが通常でしたよね。

デジタル時代の「写真」と「現像」

CONTAX T2 Photoshopモノクロ変換

しかしデジタルデータになるとRAWで撮っておくことで自分のパソコンでいかようにも「現像」できるわけで、さらにこれにはフィルムシミュレーションも含まれるようになってきます。

RAWデータだと容量が大きくなったり管理が面倒だったりする場合もありますから、趣味レベルではJPG撮って出しで軽くレタッチを加える程度に楽しむという方も少なくないでしょう。

そもそもプロカメラマンとして作品を作ったり商業カメラマンとして仕事をしている場合にはRAWデータでの納品が基本的に必須になると思いますが、趣味で楽しむ場合にはRAW撮影にこだわりすぎる必要はありません。

私も印刷・広告業界にいた身としてRAWデータ信仰という面もありますが単に職業病みたいなもので、趣味での撮影については結局JPGが楽だなというところに落ち着きました。

モノクロでもたとえばPhotoshopの「Nik collection:Silver Efex Pro 2」ではいくつかのフィルムタイプを選ぶことができます。

フジ ネオパン ACROS、アグファ APX、コダック TMAX Proなどですね。個人的にはイルフォード Deltaあたりの粒状感が気に入っています。

カラーデータでもカメラ任せ・メーカー設定任せで撮影するのも一つですけれど、RAWで撮影して自分のイメージに合うように「現像」することが「写真」という行為のひとつの柱として個人に降りてきたというわけで。

デジタル時代に敢えてモノクロで撮影すること

GRD III

デジタルデータで現像やレタッチが個人でも簡単にできるようになった手前、モノクロ写真を楽しむにも取り敢えずカラーで撮影しておけば良いということになります。

カラーからモノクロにするのは簡単ですが、その逆は不可能だからです。

もちろんAIによるビッグデータの深層学習によって過去のモノクロ写真を彩色するという研究も進んでいますから「モノクロ写真のカラー化」自体は技術が確立していくでしょう。

ただこれは趣味としての写真とは少し違う文脈ですよね。

ちなみに深層学習による彩色ができるようになればそもそもカラー画像がいらなくなるのではという議論もあるかもしれません。たとえば容量が軽いモノクロデータで残しておいて必要に応じて後からソフトで彩色することで、保存するためのストレージ容量が少なくて済むようになりますからね。

しかしこれにも課題があります。ビッグデータの深層学習による彩色は、あくまで「元データから推測されたもの」に過ぎないということです。

元データの母数が増えれば増えるほど確度は高くなるという理屈ではありますが、例えば昭和の写真を膨大な数データ化してそれを元に彩色することを考えてみてください。

その写真の「色」が正しければ問題ありません。しかしデジタル時代の前、フィルム時代の写真の「色」がそもそも正しいのかという問題が出てきます。

仮に元データの多くがプリント写真をスキャンしたものだとして、その写真は本来の色よりも色褪せているかもしれません。古い時代の写真ですからね。フィルムによっても色表現は変わってきます。

そうすると深層学習に使われる元データの「確かさ」によってAIが再現する彩色が左右されてしまうということになります。特に「色」という要素は非常に繊細なものですから、もしかしたら間違った色が「正しい」という勘違いを生んでしまうかもしれません。

これがビッグデータの深層学習によるAIの自動彩色の課題のひとつです。

いずれ敢えてモノクロ設定で撮影する意味合いはデジタル写真では薄れてしまうのですけれど、それでも「写真」という行為を考える場合にはモノクロで撮影する意味は出てきます。

そもそも1ショットで1作品というスタンスであれば、後加工をしない前提で勝負するということは写真の楽しみ方のひとつですよね。

最初からモノクロ設定で撮る場合、作品としての写真や被写体との向き合い方も変わります。気持ち的に。

GRD III

色をそぎ落とすことで見えてくるモチーフや世界がそこにはあるということです。

デザインでも音楽でも料理でもスポーツでも何でもそうだと思いますが、無駄な要素をそぎ落としていくことで洗練されていくものってありますよね。

あれもこれも入れ込みたいのをぐっと抑えて捨てるものは捨てることで見えてくるものもあります。

スーパーの特売チラシのごちゃごちゃ感と、企業のシンプルなイメージ広告では情報量や密度には大きな差があります。それでも作品としてみれば後者の方が洗練されているように感じますよね。

写真でも同じことで、敢えてごちゃごちゃした作品を撮ることもひとつですが、要素をそぎ落とすことで洗練されるということです。

そぎ落とすのは構図や要素でもそうですし「色」でも同じです。

取り敢えず全体を撮影して後からトリミングして余計な被写体を削ることもできますが、最初から構図を決めてトリミングしないことを前提に撮影することももちろんありですよね。

同じように取り敢えずカラーで撮影して後からモノクロ化することもできますが、最初からモノクロで撮影するのもありということ。

レタッチが普通の時代になってから「何でわざわざモノクロで撮るの? 意味ある?」って考える人も多くなってきていると感じますしごもっともではあります。

ただ「モノクロで撮る意味」というものがあるということも知っておくと写真の楽しみ方が広がります。慣れていないと「何かもったいない」と感じるかもしれませんが、たまには1日モノクロだけで撮影すると決めて過ごしてみると新しい発見があるはずです。

まとめ

GRD III

ネット上の口コミ情報だとか商品掲示板的な場所ではカメラ趣味のベテランの方が多いので、どうしても初心者向けだとかライトな趣味向けの「自由に楽しもう」系のコメントが少ないですよね。

でも趣味は趣味ですから最初はあまり頭でっかちにならないで楽しむのが大切だと感じます。慣れてきたら沼にハマっていく方が楽しくなるということもありますけれど。

ちなみにこの記事の本文で掲載したカラー写真はCONTAX T2(フィルムは期限切れのものでメーカー忘れました)。同じ写真のモノクロ版はNikの「Silver Efex Pro 2」で「イルフォード Delta 3200 Pro」のフィルムシミュレーションを加えたもの。それ以外のモノクロはRicoh GRDIIIのモノクロ設定でJPG撮って出し(リサイズ済)です。

GRDIIIは新品で今手に入れようとするとバカみたいに高いですが、中古だと1万円台でも簡単に手に入るのでモノクロ&マクロ専用機としてはコスパ抜群です(GRDシリーズならどれでも満足できるはずですが)。個人的にはGRDIIIとGRを使っています。旧型でも楽しめる数少ない機種がGRDシリーズなのでおすすめですよ。ではまた。

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