2019年10月のファームウェアアップデートでイメージコントロールに「クロスプロセス」が追加されたGRIII。
あれから半年以上経ちましたが、このクロスプロセスが結構お気に入りです。
※2020年4月現在の最新ファームウェアはver.1.31です。このアップデートは機能拡張ではなく不具合の修正などです。
クロスプロセスという手法について、またRICOH GRIIIにおける復活の意味。
「クロスプロセス」とはフィルム時代の現像方法の一つで、主にカラーのフィルムにおいて「リバーサルフィルムをネガフィルム現像の工程で現像する」または「ネガフィルムをリバーサル現像の工程で現像する」というものです。
参考リンク)クロス現像 – Wikipedia
本来別々の現像工程(=プロセス)を入れ替える(=クロスさせる)ことで通常の現像とは異なる色合いの結果を得られるテクニックですね。
現代ではフィルムからデジタルに写真もほぼ移行しましたので、データ上でクロスプロセスの効果を再現するのが一般的です。
このデジタルデータのクロスプロセス処理はソフトによってシミュレートされているものですから一定の(開発者が設定した)数値的な処理がされていることになります。
フィルムにおけるクロスプロセスでは使用するフィルムや現像液などの数多くの要因によって予測不可能な結果が得られるという魅力があったということで、デジタルのシミュレートはこの点で物足りない(=予測不可能性が再現されていない)という考え方もあるようですね。
何れにせよクロスプロセス処理で得られる画像は今では「エモい」と表現されるような不思議な色合いになるのが魅力的です。
個人的なイメージとしてはリアルよりも記憶だとか夢のような印象に近づくように感じます。
GRII以前のRICOH GRシリーズでもこのクロスプロセスの設定はあったのですけれど、GRIIIでは最初何故か削除されていたんですよね。
それがファームウェアアップデートver.1.30で復活したという流れでした。
私も含めてこれまでもGRシリーズを愛用してきたファンにとっては嬉しい復活だったと思います。
GRIIIを含めたいわゆる高級コンパクトカメラを使うユーザー層だとRAWで撮影してPCで現像するスタイルの方も一定数いるでしょうけれど、その一方でカメラ内でエフェクトをかけてカジュアルに日常をスナップして楽しむ方も多いですよね。
私の場合GRIIIを発売とほぼ同時に購入して1年以上経ちますが、どちらかというとエフェクトオフまたはver.1.30更新以降はクロスプロセスでJPG設定でそのまま楽しむ使い方がメインになっています。
カメラ内のエフェクト設定が苦手な時期もありましたが、GRIIIのように最初からエフェクトの効果が魅力的な表現になっていると気軽に使うことができるものだなと感じています。
富士フィルムのデジカメに搭載されているフィルムシミュレーションも非常に評判が良いですけれど、デジタル時代の写真の楽しみ方として必ずしもRAWデータによる撮影後の現像工程を重視しなくてもOKという技術・雰囲気が広がっているのは個人的には嬉しいことです。
RICOH GRIIIにおけるクロスプロセスと子育て写真との親和性について。
昨年、子どもが産まれたすぐ後に発売されたGRIII。
それまでは旧機種のGRやPanasonicのFZ1000等を使っていましたが、GRIII購入以降は基本的にGRIIIのみを使う生活になっています。
子育てをする室内環境だと明るさが足りないことがあるので被写体ブレを防ぐためにシャッタースピード優先モードにすることもありますけれど、プログラムシフトモードでパシャパシャと記録していくだけでも楽しいんですよね。
クロップモードもかなり使っておりまして、特に50mm相当の画角は子どもを撮影するにはちょうど良いイメージになりやすいので(画素数は下がりますが)活用しています。
GRIII自体が子育てカメラとして最適な機種かと言うとAF性能・暗所性能・動画性能などの点で難しいところではあります。
しかしこのコンパクトさと軽さと手の延長のような感覚で写真を撮れる操作性、そしてGRレンズとAPS-Cサイズのセンサーによる写りのバランスは他の機種では得られないものだと感じているところです。
ちなみに旧機種のGRもまだ所持していますがこちらを出して撮影することはないですね。GRを使っていた時にはGRDIIIをたまに使ってみることもありましたけれど。
GRとGRDIIIを比べるとやはりGRDIIIのコンパクトさとマクロ性能などが改めて魅力に感じることがあったわけです。
GRDIIIくらいのサイズ感だとコンパクトフィルムカメラの感覚になるんですよ。
センサーサイズが小さくても、フィルム時代で言えばハーフカメラのような感じでそれはそれで存在意義があるものというか。
その点、GRとGRIIIを比較すると(自分自身がGRをたまにでも使おうと感じていないことから)完全にGRIIIの方が勝っているということですね。
ボタンが少なくなったりしたことで当初不安はありましたが、これも慣れの問題だったのかなと思います。機能を割り振れる物理ボタンがもう少し欲しいなと感じることは正直まだありますが。
少し話がそれてしまいましたが、いずれ我が家ではGRIIIがメインの子育てカメラとして活躍し続けています。
そして前述の通り50mmクロップで撮影すると画素数は下がりますけれど、この際にクロスプロセスで撮影すると画質低下がほとんど気にならなくなります。
これはコントラストや粒状感などの調整のおかげだと思います。自分でも細かく設定調整することができますが基本設定でも十分。
家族や身内で共有する場合も喜んでもらえる画作りがしやすいので重宝していますね。
注意点というほどのことではないのですけれど、我が子の場合は少し髪の色が茶色いのですがクロスプロセスで撮影すると黒く写ります。
クロスプロセスで撮影した写真ばかりを自分の親に見せていると、たまに孫の顔を見に遊びに来た時に「こんなに髪茶色かったっけ?」と言われたりすることがあるので、共有する写真はエフェクトをかけないものも混ぜたりしていますね。
いずれ子育てカメラとしてのGRIIIは万能ではありませんが個人的には現状ベストの機種で、更にクロスプロセスは親和性があるなぁと感じているところです。
まとめ
GRIII購入から1万9千枚ほど撮影してきましたが、まだまだメインの子育てカメラとして活躍してくれそうです。
クロスプロセスが復活したことで更に写真が楽しくなりましたし機能改善・修正も続けられているようなので、今後も細かいアップデートを続けてくれるとありがたいですね。
それにしても定期的に新しいカメラやフルサイズミラーレスが欲しくなるのですけれど、色々と使用シーンを想定した結果としてやっぱりGRIIIがベストだなという結論になってしまう現状。
GRIII以外だと古い機種ですがPanasonicのFZ1000とSIGMAのDP2 Merrillをまだ使っておりまして、2020年にも関わらずなかなか新機種やミラーレスに移行できない状態が続いています。
どれも万能ではないのですが写真を撮るのが楽しいという点で良い機種なんですよね。
外出自粛が続く昨今ですので、改めて自宅中心の写真の楽しみ方を模索してみたいところです。ではまた。